(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

2005-01-01から1年間の記事一覧

〝アンブレイカブル〟

出世作の次の作品というのは、とかくその真価を改めて問われることになりがちなものだが、「シックス・センス」で世界的にその名をあげたM・ナイト・シャルマン監督は、この『アンブレイカブル』でずいぶんと思い切った企画にチャレンジしたものだと感心する。…

Bondagefruit:Bondagefruit3〝Receit〟再発記念ライブ @初台The Doors

〝隠者の森〟というバンド名を、てっきりカルメン・マキの新しいユニット名だと思っていた。しかし、当日ステージに立ったのは、日頃より彼女が勤しんでいるソロ活動の際にバックをつとめているギターの桜井芳樹とベースの松永孝義に、太田恵資のバイオリン…

10cc - Graham Gouldman and friends @渋谷duo MUSIC EXCHANGE

90年代に全盛期のオリジナルメンバーによるレコーディングが行われ、その後2度の来日公演も行っている10CCだが、正直、もうその頃には、彼らにはあまり興味をもてなくなっていた。10CCの良い時代は、73年のレコードデビューから、75年の「オリジナ…

〝事件〟THE SHAMPOO HAT #18

ここのところ、この劇団の俳優2人が客演する芝居に立て続けに行き逢い、その不思議な存在感に興味がわいた。KERA・MAPの〝砂の上の植物群〟に出ていた赤堀雅秋と、劇団、本谷有希子の「乱暴と待機」 の多門優である。いずれも、個性的な役者たちがそれぞれ熱…

〝死に花〟

原作は太田蘭三の小説。それを犬童一心が映画化。勝手にドナルド・E・ウェストレイクか天藤真あたりの痛快なクライム・コメディを期待したいところだけれど、それはいくらなんでもないものねだりというものか。ともあれ、DVDのパッケージに、クールに佇…

〝Young Marble Giants〟KERA・MAP#004

「ヤング・マーブル・ジャイアンツ」というタイトルに、はは〜ん、とようやく思い至ったのは、不覚にも舞台の進行が終盤に差し掛かってからのことだ。なるほど、若くて、まだ開花していない大輪の可能性を秘めた役者たちの才能に敬意を払っての命名であったか…

〝ヴィレッジ〟

この映画を観ていて、『世界がもし100人の村だったら』というベストセラー本のタイトルを思いだした。都会や文明から遠く離れ、わずかな人々が身を寄せ合い、自給自足で牧歌的な日々を送っている。舞台は、ペンシルバニアにある山間の村と思しい。冒頭、…

〝フォーガットン〟

昨今、これほど物議をかもした映画も珍しいのではないか。ジョゼフ・ルーベン監督の『フォーガットン』である。この映画、翻訳ミステリの専門誌にも、堂々たる1ページ広告が載っており、なんでも、「シックス・センス」以来、もっとも衝撃的なスリラーとの触…

〝約30の嘘〟

詐欺師たちの騙し合いの物語だと聞いて、コンゲームなどのミステリ映画を勝手に連想していた。監督は、大谷健太郎。TVなどでお馴染みの顔ぶれがキャストを固めるオールスターの俳優陣もあって、公開時はそれなりの話題を集めたと記憶している。 大阪から札…

OSAKA NEON KNIGHTS vs 幽霊や!きょ〜ふ!@中野SANCTUARY

「対自核」や「パラノイド」いった遥か昔のシングルヒットくらいしか知らないわたしが、ユーライア・ヒープとブラック・サバスのコピーバンドのライブに足を運んだのは、もちろん別の動機がある。それぞれのバンドに、気になるアーティストが参加しているからだ…

〝仮想敵国〟AGAPE store #10

AGAPE storeの芝居は、1月の「Bigger Biz」に続いて二度目。松永玲子さんのセクシーな姿がお目当てという不純な動機で観た前回だったが、芝居としてはやや土臭いというのが正直な印象だった。それなりに笑えたコメディだったが、松尾貴史ばかりが目立っていた…

アルティ・エ・メスティエリ@川崎CLUB CITTA'

アルティ・エ・メスティエリ。この〝芸術家と職人たち〟を名乗るグループがイタリアにいるということを知ったのは、国内盤として〝TILT〟がわが国で初リリースされた時のことだから、相当に古い。当時、ミュージック・マガジンの新譜評で、誰のコメントだっ…

ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ (1998)

極東の島国では、イギリスとアメリカをひと括りにして英米などと言ったりする。しかしながら、同じ英語圏でありながら、双方の文化はある意味非常に対照的である。濃い紅茶と薄いコーヒーほどの違いとでも言ったらいいだろうか、風土や気候、さらにはそこで…

〝風味絶佳〟の甘〜い誘惑

キャラメルが表紙いっぱいにならぶ装丁を見て、ふと恋愛は人生のおやつのようなものかもしれない、と思った。確かに、恋愛のない人生というのも存在するかもしれないが、しかし、それはおよそつまらないものに思えるからだ。人間、主食だけでは味気ない。甘…

ムーンライダーズ:Postwar Babies Tour 2005 @渋谷AX

ドラムスのかしぶち哲郎が病欠でのライブ。前回のツアーは、キーボードの岡田が不在だった。フロントマンの鈴木慶一は、こういう状況だと観られるときに観ておいた方がいい、とか、生存確認の集まりみたいだ、みたいな冗談を舞台上から飛ばしている。しかし…

ジェスロ・タル @渋谷公会堂

幻のライブというのがあるとすれば、わたしの場合はジェスロ・タルの日本公演がまさにそれだ。彼らが最初に日本へやってきたのは1974年のこと。当時彼らはバンドとして上り坂から全盛期に差し掛かるところにあったわけだが、遅れてやってきたファンのひ…

〝笑顔の行方〟シベリア少女鉄道 vol.13

戸川純に「メンズ受難」て曲があって、強引な女が好きな男の家に押しかけ、窓ガラスを割って侵入するというシチュエーションを歌っている。なんでそんなことをわざわざ引いてきたかというと、シベリア少女鉄道の前回の公演が、「アパートの窓割ります」というタ…

カルメン・マキ @舞浜Club Ikspiari

歳とともに歌声がどう変っていくかについては、ふた通りあるようだ。ひとつは加齢とともに、次第に衰えていく場合。そしてもうひとつは、年々艶やかさが加わり、円熟味を増していく場合。わが敬愛するボーカリストであるカルメン・マキは、後者に属するタイ…

〝砂の上の植物群〟KERA・MAP#003 

久々のシアターアプル。あれ、この劇場って、こんなに座席が小さかったっけ?席の前の通路もすごく狭いし、まわりを見回してみると、劇場内も大分老朽化している。まさか、これってセットじゃないよね。 さて、NODA・MAPならぬKERA・MAPである。冒頭に、先日の…

ルーシェル:関西Session Rock☆To RockII@SITE KOBE

ルーシェル(Lushel)のライブには、過去に3度立ち会っている。最初は、渋谷のラママでのプログレ・イベントで、ジョイントはロマネスク・シンドロームというメタル系のバンドと剣の舞ではなかったか。その次に見たのが、目黒の鹿鳴館で、対バンは無名時代…

〝オールド・ボーイ〟 (2004)

2004年のカンヌでグランプリという鳴り物も入った本作は、「殺人の追憶」と並んで、昨年公開された韓国映画の中では飛びぬけて評判のよかった作品といえるだろう。ミステリ・ファンにも強くアピールしたという点でも双璧。なんと原作は日本のコミックで、九十…

〝猫と庄造と二人のおんな〟月影十番勝負第九番

新感線の看板女優、高田聖子が座長をつとめる〝月影十番勝負〟のシリーズも、早いもので9回目を数える。高田聖子命のわたしとしては、当然のごとくマメに足を運んでいるが(ただし、見逃しもあり)、一番一番が高田聖子にとって、単に修行の場というだけで…

〝乱暴と待機〟劇団、本谷有希子第9回公演

芝居の判り易い、判り難いの境界線は、わたしの場合、観終えた後に舞台を反芻して、そのテーマがどれだけ目の前に浮かんでくるかという点にある。しかし、その物差しだと、判り難かったと思える芝居は結構多い。劇団、本谷有希子の『乱暴と待機』も、やはり…

〝ラバトリアル〟双数姉妹

双数姉妹の舞台に接するのは初めてのことである。彼らのルーツは早稲田大学の劇研だそうだが、大隈講堂の裏のテント時代とはメンバーも相当入れ替わっているようで、わが贔屓の野口かおる嬢も、当時は名を連ねてなかったというから、ここに来るまでは相当の…

〝荒神〜AraJinn〜〟SHINKANSEN☆NEXUS

「荒神」と書いて「アラジン」と読む。そう、新感線の新しい芝居は、「アラビアンナイト」の「アラジンと魔法のランプ」にインスパイアされたものとおぼしい。先の帝国劇場「SHIROH」好評の追い風を受けての青山劇場の舞台である。 観客席の客層がどうもいつもと…

〝エンジェル・ダスト〟石井聰互監督(1994)

この「エンジェル・ダスト」が公開された1994年当時は、まだ「羊たちの沈黙」の余韻さめやらない時代であったように記憶している。サイコ・スリラーに熱狂していたファンのひとりとして、この映画の複雑な面白さに舌を巻いた記憶がある。その後、時代も変り…

Starless @渋谷RUIDO K2

スターレスの曲に耳を傾けるとき、そのルーツに歌謡曲があることを強く意識する。彼らの魅力は、ドラマチックな演奏をバックに、メロディアスに歌い上げる女性ボーカルであり、まさに歌ものプログレ(そんなジャンル、あるんかい?)のメインストリームとな…

〝箪笥〟(2003)

ホラー関連で「箪笥」というと、われわれオールド世代には半村良の短篇がまっさきに思い浮かぶが、もちろん別物。韓国の古典怪奇談「薔花紅蓮伝」がもとになっているそうだ。最近流行りの韓流にちょこっとだけ便乗しているわたしとしては、この映画もミステリ…

〝SAW ソウ〟(2004)

配給会社の試写、ロードショーと、ミステリ・ファンの間から高評が伝わってきていたにもかかわらず、どうも生理的にいやな予感がして、先延ばしにしていた『SAW』。しかし、DVDが発売され、いよいよ覚悟を決めて観ることにしました。しかしなぁ、足を…

〝H(エイチ)〟イ・ジョンヒョク監督(2003)

韓流、韓流って騒ぐ前に、わが邦画の文化ももっと大切にしろよな、と思わずぼやきたくもなる昨今の韓国ブームだが、〝AERA〟のミステリ映画特集がきっかけで『殺人の追憶』を見る機会を得て、韓国映画に対する認識を自分の中でちょいと改めた。ミステリ…