(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

2007-05-01から1ヶ月間の記事一覧

「slow」少年社中リバイバルvol.2 (Drunkバージョン)

間もなく旗揚げから10周年を迎える少年社中。前回の「チャンドラ・ワークス」がいい感じに練れてきていたことから期待がつのる今回の「slow」は、リバイバル公演。初演は、2000年4月に劇研アトリエで上演されたもの。 アル中ばかりを収容する孤島の精神病院…

「チューブラルームズ」双数姉妹

ここ数年、ベテラン役者陣の退団が相次ぎ、目に見えて役者陣が寂しくなった早稲田大学劇研のアンサンブル出身のベテラン双数姉妹。わたしが観た日は、客席上方から野口かおる嬢が舞台を見つめていました。まさか、彼女まで辞めたりしないよね、とちょっと心…

「WOMAN」LEMON LIVE vol.2

LEMON LIVEは、POOL-5(フランケンズの中野成樹が所属)の斎藤栄作が企画、脚本、演出を手掛け、小劇場系の劇団で活躍する俳優たちを招いて公演を行うというシステムで活動すプロデュースユニット。男性中心主義がこのユニットの特徴で、昨年6月にその第一…

6月に観たい芝居

初見の劇団優先になりそうな6月のラインアップ。とはいえ、阿佐ヶ谷スパイダースや劇団、本谷有希子は外せないところ。「社長放浪記」と「THE BEE」は、評判次第だけれども、前者はチケット入手が至難の業だろうなぁ。 ・ともだちのともだちver.2(RONNIE R…

「永遠かもしれない」シベリア少女鉄道vol.17

シベリア少女鉄道をどう評価するかは、新しいものに対するちょっとした踏み絵みたいなところがあるようで、どうも素直に評価できないわたしは、こてこての保守主義者なのかもしれない。過去公演は、たった一度しか観ていないが、その「笑顔の行方」(2005年5…

「おねがい放課後」ハイバイ

20歳の若者志賀ちゃんを演じる志賀廣太郎に尽きるハイバイの新作。主人公の志賀ちゃんは、普通の人の4倍で肉体的に歳をとってしまう奇病に冒されている大学生。そんな設定を事前に聞かされていたけれど、開演前に演出家自らのアナウンスで、それだと80…

「業に向かって唾を吐く」elePHANT Moon#4

ちらしの悪趣味なアートワークがやけに印象的なエレファントムーンの新作。作、演出の映像作家マキタカズオミが中心のユニットで、個人的にはポツドールや乞局と地続きのナスティな負の世界観に特徴があると思っている。わたしは、昨年の「シュナイダー」に…

「バラ咲く我が家にようこそ。」ジェットラグ・プロデュース

ジェットラグは、映像・舞台プロデューサーの阿部敏信(映画「ジューンブライド」プロデュース)が、舞台製作を行うため2006年に立ち上げ。作品ごとにスタッフを集めるシステムで、過去に『困惑』(作・演出:政岡泰志)と『ヒモのはなし』(作:つかこ…

「『放埒の人』はなぜ『花嫁の指輪』に改題されたか あるいはなぜ私は引っ越しのさい沢野ひとしの本を見失ったか」燐光群

おそらくは、これまでの酒呑み人生でその暖簾をくぐったこと100回は下らない筈の新宿三丁目にある呑み屋「池林房」。SPACE雑遊をオープンしたのが、池林房のオーナーにして、新宿で伝説の人物太田篤哉氏だというのは、知らなかった。ここでは、去年「蝶の…

「アメリカをやっつける話」劇団チャリT企画

舞台上には、既視感たっぷりのセットが広がってると思ったら、大学の学生会館なんですね。壁には汚れたビラが貼られ、廃品置場から持ってきたのではないかと思われる家具が雑然と置かれている。遥か遠い昔に見た、どこか懐かしい風景だ。 今回のお話の舞台と…

「ツグノフの森」G2 Produce & 三鷹市芸術文化センター Presents

日本全土を襲った大地震により、横にスライドするような地殻変動が起き、土地がランダムに移動するという現象が日本各地で発生。自治体間では土地をめぐって争いが起き、国内のあちこちで内戦状態になっている。 その巨大な森も、そのときに出来上がった。森…

「グレイトフル・デッド」バジリコFバジオ

所属女優の田中あつこの客演をあちこちで見かけるバジリコFバジオ。作・演出は佐々木充郭で、舞台に人形が数多く登場することでもお馴染み。旗揚げは2002年あたりと思われ、ENBUゼミの卒業生が中心メンバーに多い。今回のタイトルは、アメリカの伝説的なジ…

「感じわる大陸」シャトナー研

喰わず嫌いにも困ったもので、当時リアルタイムで芝居にのめりこんでいた筈なのに、惑星ピスタチオ(1990年-2000年)は、一度も観ていない。正直、後悔しています。というわけで、西田シャトナーの巨漢を初めて見たのは、昨年の七里ガ浜オールスターズへのゲ…

「ドブの輝き」大人計画

松尾スズキがドクターストップで降板した大人計画の本公演。宮藤官九郎作・演出作、井口昇監督の映像作、松尾スズキ作・演出作の3本立てという変則的な内容に加えて、松尾のピンチヒッターが池田成志、さらにどっちが出るかは毎回前日に決定という平岩紙・…

「トライアウト」jorro vol.5

ジョーロは作・演出の富田恭史を中心としたユニットで、2003年の「River Side」を皮切りに、平均すると年1作のペースで公演活動を続けてきている。わたしは初見だが、今回の「トライアウト」は、前回公演を引き継ぎ、ト書きだけの脚本をもとに、一定の…

「絢爛とか爛漫とか(モダンガール版)」赤坂RED/THEATERプロデュースvol.1

自転車キンクリート(STORE)のお馴染みのレパートリー。93年に初演(シアタートップス)、98年に再演(紀伊国屋ホール)されている。モダンガール版は再演時に枝分かれしたもので、その時のキャスティングは、池田貴美子、歌川椎子、柳橋りん、柳岡香里…

「犬は鎖につなぐべからず〜岸田國士一幕劇コレクション〜」NYLON100℃ 30th SESSION

大正から昭和にかけて劇作家として近代的な演劇の礎を築き、今も戯曲の新人賞にその名を残す巨人の一幕ものを、ケラが町内ご近所の括りでオムニバスに仕立てたNYLON100℃の新作。これをなぜにNYLONの本公演で?という素朴な疑問もあるが、松永玲…

「冬のユリゲラー」ヨーロッパ企画第23回公演(雪組)

〈バック・トゥ2000〉シリーズと銘打って、2000年初演の3作品をまとめて再演するヨーロッパ企画2007年春ツアーの2本目。折りしも同じ下北沢で砂組が「苦悩のピラミッダー」(駅前劇場)を上演中で、一部役者が両劇場の間を全力疾走で移動し、ふたつの…

「苦悩のピラミッダー」ヨーロッパ企画第22回公演(砂組)

初めて観た「ブルーバーズ・ブリーダーズ」が、信じられないくらいわたしにはダメだったヨーロッパ企画。ふむふむと思ったのは、今回の開演前、前面スクリーンに流れた前回作のDVD発売告知用映像にあった、「ドタバタ・シーンだけで作られた問題作」とい…

Hula-Hooperの、部活動 『鱈。』の(ふ)

若い人はいいなぁ、無限の可能性があって、とはよくいうけど、それはわたしのような年寄りの言い草だろう。当人たちは当人たちなりに、焦りもあるだろうし、余裕だってないに違いない。一昨年の〝ニセS高原から〟のプロジェクトにも参加していた若手のホープ…

〝コンフィダント・絆〟パルコ・プロデュース公演

しかし、三谷幸喜の芝居も、チケットが手に入りませんね。プレオーダーを外し、発売初日にチケットぴあの店頭に並ぶも、開始10分で殆ど売り切れ。仕方なく、不快な思いをして、ネットオークションで手に入れました。(大阪は、ずいぶん余っていたという噂…

〝屋上のオフィス〟あひるなんちゃら

前回の公演で、わたしはほぼ一目惚れだったあひるなんちゃら。売り物のギャグは脱力系だが、取り組みは意欲的だ。ゴールデンウィークのさ中の公演が入場無料っていうのが、なんとも泣かせるではないか。 ビルの屋上にオフィスを構える某会社。たった二人の社…

橋本 紡/空色ヒッチハイカー(短評)

ダークでネガティヴな青春小説という趣もあった岡崎隼人の作品とは対照的な場所に位置する本作。作者の橋本紡はラノベ方面からの越境者(第四回電撃ゲーム小説大賞を受賞し、その受賞作でデビュー)だけれど、この巧さは只者ではないと見た。 素敵な女の子、…

岡崎隼人/少女は踊る暗い腹の中踊る(短評)

あまりいい評判が伝わってこない第34回メフィスト賞受賞作。しかし、わたしは評価します。謎の殺人鬼に遭遇し、連続幼児誘拐事件に巻き込まれた19歳の少年が、血みどろの惨劇を通じて、自らのアイデンティティーに直面する。ま、そういう意味でノワールと…

5月に観たい芝居

早いもので、黄金週間も後半に入ってしまった。今月も、足を運びたい芝居が目白押し。 気になる芝居がよくかかるようになってきた赤坂RED/THEATERに足を運ぶのは、初めて。自転車キンクリートの飯島早苗を旧作を、モダン・ボーイ版とモダン・ガール版のツー…

デイヴィッド・ミッチェル/ナンバー9ドリーム(短評)

3度落選でも、ノミネートされたのがブッカー賞だったら、それだけで立派かも、デイヴィッド・ミッチェル。〈新潮クレスト・ブックス〉からの刊行なので、文学系なのだけれど、これはエンタテインメント系の読者にも十分アピールするとみた。高橋源一郎も、…