(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

2011-01-01から1年間の記事一覧

今年の3本を〈wonderland〉に寄稿しました

今年も小劇場演劇、ダンス、パフォーマンスのレビューマガジン〈wonderland〉の年間回顧企画『振り返る私の2011』に寄稿しました。2011年に観た芝居のフェイバリット3作+αを、わたしなりに挙げています。興味ある方、覗いてみてください。http://www.wonde…

柿喰う客「悩殺ハムレット」

柿喰う客が、女優だけでシェイクスピアを演じようというシリーズ企画〈女体シェイクスピア〉の第一弾。 様式というと語弊があるかもだが、自分たちなりのスタイルをある程度作り上げている彼らは、(ちょっと乱暴ないい方になるが)何をやっても大きなハズレ…

モダンスイマーズ「どん底スナイパー」

劇場の座席につくまで、いつもの通り蓬莱竜太作だと思っていた不覚。今回は、役者の古山憲太郎の作・演出デビュー作品との由。しかし、座席は満席。 小学生たちの「木の鳥」捕獲作戦と、刑務所におけるタイムマシーンの製造。ファンタスティックな物語を交錯さ…

チェリーブロッサムハイスクール「めろす」

らしくない公演だそうである。2008年にチェリーブロッサムハイスクールの公演を一度観ているのだが(「その夏、13月」)、話を作り過ぎているところにどうしても違和感があって、あまりいい印象はなかった。 しかし、「らしくない」を自称する今回の公演、わた…

劇団桃唄309「はじめてのにんげんがり」

先の震災に変更を余儀なくされた芝居は多いが、桃唄の新作もそのひとつのようだ。 脱サラで開店に漕ぎ着けたカフェ。そこに出入りするマスターとその兄弟、友人、ご近所、ふらりと訪れたお客さんたちが織り成していく年代記風の物語である。お店だけでなく、…

女王陛下「ビガールの理髪師」

好きです、女王陛下。とはいうものの、なかなかタイミングが合わなくて、3年ぶり2度目の観劇。この公演を最後に、大地輪子が抜けるという話を聞いたのは公演終了後のこと。 パリのピガール広場近辺。店主がいない理髪店に謎の来訪者がやってきたことから、…

青年団リンク 水素74%「謎の球体X」

田川啓介という名前に反応できなくても、劇団掘出者の出身ときけばピンと来る人もいるのでは。かくいうわたしがそうなのだが。現在は青年団の演出部に所属しているようで、水素74%としては今回がおそらくは旗揚げの公演。 現実世界と微妙にずれたパラレルワ…

ガレキの太鼓 のぞき見公演#2「秘密裏にどうぞ/ガールズパジャマパーティ2011編」

メニューは、『あやういカップル編』、『男女同窓会物語編』、『ガールズパジャマパーティ2011編』ののぞき見型3本と、巻き込まれ型1本の4種類。初体験のわたしは、とにもかくにも思いっきり邪な気持ちで『ガールズパジャマパーティ2011編』を覗きに出か…

MCR「女がつらいよ」

ここ数年、ほとんど何を観ても面白い状態のドリチョコ、MCR。もしかして櫻井智也って天才って思ったり、思わなかったり。小椋あずきを大々的にフューチャーしての新作。 女にとって難しいお年頃の四十歳代、あずきちゃんは怪しい稼業の若いイケメンと熱愛中…

ポツドールvol.19「おしまいのとき」

『顔よ』から3年と余月。もうそんなに経つのか。ポツドール、久々の新作上演である。 事故でわが子を亡くした喪失感から立ち直ることのできない母親と、それをなすすべもなく見守るしかない父親。そんなふたりの心の隙間に、隣人や家電業者たちという第三者…

個人企画集団*ガマ発動期「ランディおじさん」

昨年3月にスズナリで上演された本作に惚れ込んだサンモールスタジオの佐山泰三(代表)の熱烈なひきで実現した再演。キャスティングは、前回から異同なし。わたしは、初見。 おんぼろバッティングセンターにたむろする怪しい人々。星野仙吉ことセンターの経…

表参道ベースメントシアター「HELLO!」

春の『in her twenties』にすっかり心を持っていかれてしまったこともあって、上野友之作・演出のクレジットに、ついつい引き寄せられました。悪くはなかったけど、いわゆるお仕事系の作品ではありましたね。ちなみに、会場の劇場主でもあるナベプロの企画も…

財団、江本純子vol.5「日本全国奇形鍋」

気づくと「劇団」から「財団」に変わってたエモジュンの非毛皮族の別ユニット。聞くと、その理由が、画数の関係ですと!しかも、財団って…。 春に福岡でやった『奇形鍋』の東京版らしいが、もちろんそっちは観ていない。ワークショップで集めた若い役者たち…

劇団破戒オー!!!池袋演劇祭参加し忘れた第13回公演「消失マテリアル」

以前同じ王子で観て(2008年の「刺青姫」)、大いに琴線に触れてきた破戒オー!!!。ほぼ三年ぶりだけど、いいですね、やっぱり。 予言が当たると評判のサイト、ハナウラ。それを作った女子高生のハナは、三人の男たちに誘拐された。しかし、一味の中に裏切り…

ロロvol.5.8「夏も」

誠に申し訳ないのだが、ロロとの相性は最悪と思しい。これまで共感できた作品は、たったひとつ。王子で観た「ボーイ・ミーツ・ガール」なのだが、しかしこれにはいたく胸をうたれた。大げさにいうなら、そうか、こういう作品を作れるなら、一生君たちを見守…

現代能楽集?「奇ッ怪其ノ弐」

一昨年のシアタートラムから世田谷パブリックシアターに舞台を移しての続編。イキウメの舞台をサイエンス・フィクションやホラーだとすると、こちらは怪談の世界だ。 百物語のようにオムニバス風にいくつかの物語が語られていき、最後に大きな物語が出現する…

劇団 二番目の庭「なにもない/なにもしない」

二番目の庭は、2000年7月結成。活動拠点は北九州の劇団で、今回が東京への初進出だとか。 山のように積まれた衣料品の中から、出演者が衣類を選んで着替えるオープニング。スペースを切り分けるかのように、お米で床に線が引かれていく。さて、何が始まるの…

ブラジル「さよならまた逢う日まで」

初演は3年前のアゴラ劇場。そのときの装置を舞台の広さに合わせてそのまま拡大したようなセットが舞台上に並んでいる再演。 女優陣など役者の入れ替えは一部あったが、ほとんど初演どおりの再演。と思いきや、これってもしかして、脚本の細部に手が入ってい…

ニッポンの河川 第4回公演「大きなものを破壊命令」

2006年に旗揚げ、役者の森谷ふみ、光瀬指絵と脚本・演出の福原充則によるユニットの新作。福原・ピチチ5のファンだし、ずっと気になってはいたけれども、これまで縁なく今回が初見です。 初日に観るつもりが楽日になってしまうことの多いわたし。これも、初…

オーストラ・マコンドー 3rdオーストラ「チャイムが鳴り終わるとき」

オーストラ・マコンドーの立ち位置は、一般演劇と小劇場の中間点かな。サイトを見ると、岡田あがさが現在所属している劇団のようだ。 3rdとあるが、過去公演を見ると0.5回刻みなので、通算5作目と思しき今回は、映画にもなった湊かなえの『告白』を連想させ…

虚構の劇団 第7回公演「天使は瞳を閉じて」

時代の空気に敏感であるがゆえに、鴻上尚史の芝居は時の流れとともに風化していくのではないかと正直思っていた。しかしそれが間違いだったことを悟ったのが、少し前に虚構の劇団による『ハッシャバイ』を観たときだ。若い役者が演じる準古典を眺めながら、…

PARCOプロデュース「クレイジーハニー」

ストーカーの妄想は別として、作家の目に自分たちがどう映っているかなんて考える読者はいないだろう。しかし本作を観ると、なるほど彼らの側から見たわれわれ読者は、得体の知れない怪物のようなものかもしれないなぁ、と思えてくる。 新刊のサイン会を兼ね…

キャラメルボックス・アナザーフェイス「ナツヤスミ語辞典」

アナザーフェイスとは、キャラメルボックスが他の劇団とジョイントで公演を行う他流試合のようなもの。なんと14年ぶりだという今回は、89年に初演、その後91年を皮切りに何度か再演されている人気のレパートリーを俎上にあげて。 水泳嫌いがエスカレー…

青年団リンク 青☆組 VOL.15「パール食堂のマリア」

青☆組は、2002年から公演を行っている、桐朋学園大学演劇科の卒業生を母体に結成されたユニットだ。中心は、劇作家・演出家・俳優の吉田小夏。2006年以来の青年団リンクから独立して初めての公演となる。 昭和の横浜を舞台に、小さな食堂を営む父と…

2011年上半期面白かった芝居

上半期、面白い!と思った芝居です。順位はありません、観た順番です。せめて一行づつでもブログにメモを残したいところですが。(遠い目) (1月) 大きな豚はあとから来る(渡辺源四郎商店工藤支店)@こまばアゴラ劇場 テスタロッサ(ドリルチョコレート…

イキウメ「散歩する侵略者」のレビューを「wonderland」に寄稿しました

タイトルは、『センス・オブ・ワンダーの彼方に見えるものの正体』です。8月3日に発行された週刊メルマガ「小劇場レビューマガジン ワンダーランド」の252号に一部掲載され、現在は「小劇場のいまにふれる劇評サイト〜wonderland」で読めます。 》》》…

2010年面白かった芝居

ブログの更新は著しく滞ってますが、お芝居はなんとか観続けています。さすがに、少し本数は減りました。(約120本)ウェブマガの〈ワンダーランド〉から依頼のあった年間回顧アンケートに答えた内容の元になっているのが、下の作品リストで、つまりは、…