(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

Starless @渋谷RUIDO K2

スターレスの曲に耳を傾けるとき、そのルーツに歌謡曲があることを強く意識する。彼らの魅力は、ドラマチックな演奏をバックに、メロディアスに歌い上げる女性ボーカルであり、まさに歌ものプログレ(そんなジャンル、あるんかい?)のメインストリームとなるべきバンドだった。そう、彼らが解散してから、早や9年が過ぎてしまった。
しかし、昨年、神戸で彼らが再結成のライブを行ったという情報が、関東にも伝わってきた。具体的な情報はなかったように思うが、彼らが遠からず東京でもステージに立つものと、なぜかわたしは確信していた。そして、関西でのライブから3か月、それが実現した。80年代の日本のプログレ・バンドは、かなりそのライブを観てきたつもりだが、なぜかスターレスは観ていない。結成は84年、初のライブは85年の年末だったと聞く。最初期のメンバーは、大久保寿太郎(B)、堀江睦男(Dr)中川隆雄(G)、上村禎徳(Key)、そしてジュラこと宮本佳子(Vo)だった。その後、幾たびかメンバーチェンジを繰り返し、ボーカリストも3人代わったが、今回の再結成で、最初期のメンバーのうち4人までが顔を揃えた。これで、期待するなという方が無理だろう。
今回のライブで一番不安だったのは、最初期のメンバーで唯一参加できなかったジュラの穴を新しいボーカリストがどれだけ埋めるかということだった。しかし、ライブの幕が開き、1曲めの〝銀の翼〟を彼女が歌いだした途端に、それが杞憂だったことが判った。4代めとなるボーカリストの荒木真為は、Siegfriedという東京のバンドからの助っ人のようだが、ルックスの可愛さに似合わず、なかなかインパクトある声の持ち主だ。歴代のボーカリストは、なかなかの歌い手揃いなのだが、新ボーカリストもかつての歌姫たちと遜色のない歌いっぷりを披露してくれる。
ステージングも堂々たるもので、引っ込み思案気味の旧メンバーをひっぱる一方で、客席にもアピールする。次々と披露されるスターレスの代表曲にもマッチした歌声で、時にハードに、時にメロウに、Gの中川の手になる旋律を丁寧に歌いあげていく。一方、オリジナル・スターレスの面々も、ジュタローをはじめとしてなかなかタイトな演奏を繰り広げていく。音楽活動にブランクがあったメンバーもいたようだが、実に無難な演奏ぶりだった。
客席も、新ボーカルの荒木真為の煽りについていけない場面もあったが、悪い乗りではなかった。予定の7曲が終わり、いったん引っ込んだメンバーを呼び戻すアンコールの声は、プログレのライブではあまり聞かない熱の入ったものだったし、ジュタローも昔よりも受けがいい、と驚いていた。
バンドの再結成は、いっときのお祭りに終わるケースがあるが、このバンドだったら、次の展開を観てみたい気もする。ジュタローは新バンドの予定しているようだし、荒木真為も実家のヘビメタバンドでの活動があるのだろうが、このメンバーでのレコーディングを是非実現してもらいたいと思う。会場では、神戸でのライブDVDが発売されていた。掲げた写真は、そのジャケ写である。

なお、当日は、〝New Progressive Revolution 2005〟と銘打ったイベントであり、対バンはジェラルドだった。