(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

2005-01-01から1年間の記事一覧

〝ファイブ・ミニッツ〟劇団桃唄309

この劇団の得意技として、ISIS(自立不可能舞台装置システム)というのがあると聞いていた。これは、劇中の舞台装置を出演者たちが人力で支えるというもので、役者たちは本来の出番以外も書き割りなどを抱えて、舞台に登場しなければならない。そのせい…

〝メメント〟

記憶のメカニズムは、不思議であると同時に不可解でもある。クリストファー・ノーラン監督の「メメント」の主人公レナード(ガイ・ピアーズ)は、短期記憶に深刻な障害をもっている。妻を目の前で殺された時に負った精神的、肉体的な衝撃で、数分前の記憶を持続…

〝君はヲロチ〟双数姉妹

花組芝居からの客演、さらに初の時代劇ということで、果たしてどんな芝居になるのか興味半分、不安半分だった双数姉妹の新作だが、なるほど、現代劇とシンクロするドラマときたか。時代劇というと、わたしの中ではいささかコンサバなイメージがあるのだけれ…

〝12人の優しい日本人〟パルコ劇場プロデュース

ミステリにおける法廷劇のパターンは、おおよそこんな感じだと思う。刑事告発を受けた被告人が登場し、冒頭、彼または彼女は決定的ともいうべき厳しい状況に立たされている。その後、裁判の中では、目撃者の証言がなされたり、新たな証拠が見つかったりする…

〝学習しない女〟オッホ

かなりお気楽な人生を送っているわたしだが、今から溯ること四半世紀前は、今の百倍はお気楽な日々を送っていた。当時は、土曜も半日会社があって、昼からは新宿あたりのレコードショップや書店を冷やかしたりして、のんびりとした午後を過ごしたものだった…

〝ウソツキー〟猫のホテル

1970年、その年日本のロックはひとつの進化を遂げた、なんてちょっと大袈裟かも。でも、細野晴臣(b&vo)、大滝詠一(vo&g)、鈴木茂(g&vo)、松本隆(ds)の4人からなる〝はっぴいえんど〟が、URCレコードからデビュー・アルバムをリリースしたのは、ある意味…

浪漫座別館/スターレス:J・Prog Summit 2005@恵比寿ギルティー

当初は、最近頭角をめきめきとあらわしてきてるFantasmagoriaも参加する予定だったというこの日のイベントだが、関西プログレ・シーンを代表する2バンドを同時に観られるだけでも、その充実度はかなりのもの。昨年の復活以来の快進撃が続く新生スターレスと…

minoke? / Holding Pattern(Tony Spada) :POSEIDON Festival 2005 @四谷Outbreak

新人バンドがこぞって出演するプレデイを含めて6日間のフェスティバルのうち、この日は4日目。わたしは、前日に続いて2回目のアウトブレイクである。この日のお目当ては、アメリカから参加のHolding Patternなのだが、驚いたことに発売日を遥かに過ぎて購…

〝越前牛乳〟カムカムミニキーナ旗揚げ15周年記念公演

かつては、同じ公演に何度も足を運び、買ったビデオが擦り減るほどどっぷりと夢中になって観たというのに、野田秀樹の芝居との相性が悪くなって久しい。夢の遊眠社を解散し(最終公演は1992年)、イギリス留学から帰ってNODA・MAPを結成した頃(第1回公演は19…

Lu7 / Fantasmagoria / 荘園 :POSEIDON Festival 2005 @四谷Outbreak

プログレ系のフェスティバルで思い出深いのは、吉祥寺のシルバーエレファントで毎年ゴールデン・ウィークに開催されていたイベントだ。中嶋一晃率いるページェントを最初に観たのはそこだったし、その時のキーボード兼ボーカルの永井博子嬢の強烈なメイク姿…

〝フェイスインフェイス〟プレイメイトNo.6

これまでの長い人生で舞台に立った経験はたった一度、小学六年生の学芸会だけ、というこの身にとって、芝居や演技の神髄が何かってことには、まったく語るべき言葉をもたない。そんな素人にとって、唯一、役者はすごいなぁ、と思い続けてきたことがある。そ…

少年少女よ、〝神様ゲーム〟を読みたまえ

ミステリがルールの上に成り立っている文学であるということは、いうまでもない。しかし、一方では何かが成長していく過程において、殻を破ることは避けられない必然だということも事実なのであって。そういう意味で、ミステリ小説が進化を遂げようとしたと…

〝フェイス イン フェイス〟プレイメイトNo.6

これまでの長い人生で舞台に立った経験はたった一度、小学六年生の学芸会だけ、というこの身にとって、芝居や演技の神髄が何かってことには、まったく語るべき言葉をもたない。そんな素人にとって、唯一、役者はすごいなぁ、と思い続けてきたことがある。そ…

Hatfield & the North @CLUB CITTA'川崎

長い間、ハットフィールド&ザ・ノースは、機会があればライブを聴きたいバンドのひとつだった。といっても、彼らの代表的なアルバム「ハットフィールド&ザ・ノース」、「ザ・ロッターズ・クラブ」がリリースされたのは、今から30年ほども前のことなので、当…

大高清美Band : Metro Music Oasis vol.4 @地下鉄銀座駅〝銀座のオアシス〟

かつてJR大阪駅の前で、地元のあんちゃんたちとおぼしきバンドが、電源車を傍らに停めて、ストリートライブをぶちかましていたのに出くわしたことがある。もう夜もいい時間で、歩いているわたしもちょいとほろ酔い気分だったのだが、彼らが演奏しているノ…

〝レイクサイド マーダーケース〟

原作は、東野圭吾の「レイクサイド」。それを映画化にあたって、「レイクサイド マーダーケース」とした製作サイドのセンスをまず称えたい。ミステリのタイトルでは定番ともいうべき殺人事件(マーダーケース)という響きには、安直さと裏腹の不思議な効果がある…

〝上海〜新人少女歌手・青春シャンソンショー〜〟B-amiru Shor

今年オープンした吉祥寺シアターの柿落としとして6月に上演されたKERA・MAPの「ヤング・マーブル・ジャイアンツ」は、オーディションという登竜門をかいくぐった発展途上の新人たちがこぞって出演したという、良くいえば新鮮、悪く言えば青臭いところのある…

〝ピクニック・フォー・ヒューマン・ライフ〟damim第5回公演

damim(ダミーム)は、TVなどでお馴染みの俳優宇梶剛士が主宰するコアな芝居を見せてくれる劇団(ユニット)との触れ込み。ルーツは、美輪明宏や渡辺えりと宇梶本人は語っているようだ。今回の第5回公演は、なんと4年ぶりらしく、わたしは初見。NYLON100℃…

〝トーキョーあたり〟劇団健康vol.15

芝居の中でのスライドや映像を用いる仕掛けには、正直違和感を覚えると思ってきた。第三舞台も全盛期にタイトルバックで使っていたし、NYLON100℃でもお馴染みの手法だが、これがどうにも馴染めない。先般は、シベリア少女鉄道で酷い例を見せられたばかり…

〝ニセS高原から〟前田司郎(五反田団)組

井の頭線の駒場東大前にあるこまばアゴラ劇場は、8月からここのところずっと〝S高原から〟一色である。4人の演出家たちによる異なったバージョンをシャッフルした〝にせS高原から〟の連続公演に続き、平田オリザ自らが演出する青年団の「S高原から」がそ…

〝いのうえ歌舞伎・吉原御免状〟SHINKANSEN☆PRODUCE

思えば遠くへ来たものだ。いやなに、劇団新感線のことである。手もとの記録をひっくり返すと、わたしが初めて彼らの芝居を観たのは、1988年10月新宿シアター・トップスである。チケットの控えには、〝東京公演第2弾〟とあり、演目は「宇宙防衛軍ヒデマロ3」と…

〝少女には向かない職業〟にみる桜庭一樹に向く職業

女性でもなければ、ティーンエイジャーでもないわたしが、この小説を評して〝少女のビビッドな感性〟などというのは、さすがに片腹痛い。しかし、桜庭一樹の『少女には向かない職業』は、まさに十代のある一時期をそのまま切り取って小説にしたような、瑞々…

ゆらゆら帝国 LIVE2005ファイナル @日比谷野外大音楽堂

先のCLUB CITTA'川崎の入り口で配られたフライヤーに、この日のアナウンスがあった。4月のフリーライブの際には行けず、今回の野音はぜったい、と思っていただけに、チケットがとれてラッキー。降水確率高い天気予報は微妙だったけど、(昼には降ったが)な…

NOVELA 25th ANNIVERSARY 〜 ORIGINAL MEMBERS@渋谷O-EAST

ノヴェラのライブアクトは、過去2度観ている。最初は、〝聖域(サンクチュアリ)〟のレコ発ライブのはずで、会場は中野サンプラザだった。もう一回は、〝ブレイン・オブ・バランス〟のレコ発で、こちらは渋谷公会堂。バンドとしては全盛期から過渡期に差し…

高円寺百景 4thアルバム発売記念ライブ @初台 The DOORS

初台DOORSのキャパシティは決して大きくはないけれど、オール・スタンディングなら200名は軽く収まるだろう。その会場が、ほぼ立錐の余地がなくなるくらいなのだから、彼らの人気のほどが伺えるというものだ。かくいうわたしも、ファーストアルバムの頃か…

〝インソムニア〟

インソムニア=不眠症。都会からやってきた辣腕刑事は、白夜の町で眠ることができず、睡眠不足で七転八倒しながら、殺人事件の捜査にあたる。そんなユニークな映画を撮ったのは、「メメント」の凝った映像でミステリ・ファンからの認知度も高いクリストファ…

〝水平線ホテル〟劇団M.O.P.第40回公演

水平線ホテル」、なかなかいいタイトルだと思う。善と悪、過去と未来、正気と狂気、世の中のすべてには境界線がある。そして、このドラマの中にも。すでに40回公演を数えるこの劇団だが、観るのは今回が初めて。評判をききつけ、台風7号が関東地方に刻々と…

〝迷宮の女〟

かつてビル・S・バリンジャーというアメリカのミステリ作家がいて、一見無関係なふたつの物語を並行して語っていき、それをラストで鮮やかに交叉させるという独特の小説のスタイルを得意としていた。「歯と爪」や「煙で描いた肖像画」などがその代表作だが…

ゆらゆら帝国 LIVE2005 @CLUB CITTA'川崎

ゆらゆら帝国=四人囃子説、というのはあまりに奇抜だろうか?いや、わたしは、そうは思わない。彼らのどこか懐かしく、サイケでファジーな心地よさは、ルーツをつきつめていくと、どうしても6〜70年代のあの熱い日本ロックの時代に行き着く。それも、〝…

〝LAST SHOW ラストショウ〟パルコ・プロデュース公演

阿佐ヶ谷スパイダースの「悪魔の唄」、AGAPE storeの「仮装敵国」の第一話に続く、今年3本目の長塚圭史の芝居である。なかなか骨太いストーリーテリングを見せる「悪魔の唄」(作、演出、出演)と、ショートコントのような「仮装敵国」のエピソード(作)と、サンプ…