(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

2009-01-01から1年間の記事一覧

2009年下半期面白かった芝居

はてさて、大晦日。レビューは順延中ですが、とりあえず下半期の面白かった作品を挙げさせてください。上半期は13作でしたが、7月以降はちょっと増えて20作。お芝居好きとしては、2009年も悪い年じゃなかったってことでしょうか。ちなみに順位はありません、…

「わが星」青年団リンク ままごと

日芸在学時代の2004年に、『ドドミノ』で第2回仙台劇のまち戯曲賞大賞を受賞した柴幸男。わたしは、去年のtoi presents 4th「四色の色鉛筆があれば」@シアタートラムの『反復かつ連続』を観て、その素晴らしさに仰天しました。『わが星』は、青年団リンクと…

「蛮幽鬼」劇団☆新感線 二○○九秋興行

新感線としての新作は『五右衛門ロック』以来1年ぶり。デュマの『モンテ・クリスト伯』を翻案したかのような復讐の物語で、中島かずきの新作。また2000年の「阿修羅城の瞳」を皮切りに続いている「INOUEKABUKI SHOCHIKU−MIX」の第…

「世田谷カフカ」〜フランツ・カフカ「審判」「城」「失踪者」を草案とする〜NYLON100℃ 34th SESSION

サブタイトルにあるとおり、カフカの小説3篇をモチーフにした新作。ケラとしては、2001年にオリガト・プラスティコのために書いた「カフカズ・ディック」に続くカフカを素材にしてのチャレンジになるわけで。 意外性に富んだ筋運びに夢中になるうち、いつの…

「て」ハイバイ(本文追加予定)

2008年に駅前劇場で初演したものの比較的忠実な再演。しかし、前回以上に作品が客席に迫ってきた印象を持つのは、物語をなぞるのが二度目だからだろうか。役者たちの咀嚼度も、やはり確実にあがっているのではないかと思うが。 全く自分のためというか、自分…

「はちみつ」こゆび侍第8回公演

「はちみつ」といえば、スィートなスピッツの名曲を思い出してしまうわたし。(ちょっと古過ぎ?)でも、ダークな作風が持ち味のこゆび侍の新作の味は、やはりかなり苦目で。 負け犬同士の傷の舐めあい。破滅の瞬間が訪れたとき、僕たちはくちびるを重ねた。…

「サッちゃんの明日」大人計画

鈴木蘭々をフィーチャーした松尾スズキの新作。溌剌としたヒロインが活躍する下町人情喜劇をブラックなテイストで。 サッちゃん(鈴木蘭々)は、下町の定食屋を切り盛りしている看板娘。そろそろ30に手が届こうとしているが、今日も元気いっぱい。そんなサッ…

「中国の不思議な役人」PARCO presents

寺山修司のこの戯曲については、もちろん知っていたけれども、32年前のPARCO劇場が初演だったとは知らず、びっくり。パルコ初演出だという白井晃が、この作品をなぜ?というちょっと素朴な疑問もかかえて劇場へ。 舞台は上海。この街を支配する中国の不思議…

「青木さん家の奥さん」青年団+南河内万歳一座共同企画 青年団プロジェクト公演

座付き作家/演出家が、それぞれの代表作を交換して、上演し合う東西の交流(?)企画。なんと4年がかりのプロジェクトとのこと。 酒屋でアルバイトを見つけた主人公。注意をたれる先輩の話に、青木さん家の奥さんという人物がやたら出てくる。どうやら、お…

サスペンデッズ「夜と森のミュンヒハウゼン」のレビューを「wonderland」に寄稿しました

10月7日に発行されたメルマガ「小劇場レビューマガジン ワンダーランド」の160号に掲載されました。メルマガ以外では、間もなく「小劇場のいまにふれる劇評サイト〜wonderland」で読めるようになります。タイトルは「鬱蒼とした森の物語 現実との交錯、衝…

「伊賀越道中双六・艶容女舞衣」人形浄瑠璃文楽9月公演(第168回)@国立劇場

第二部 * 伊賀越道中双六 沼津の段 * 艶容女舞衣 酒屋の段 ■データ15時00分開演/18時05分終演

「Musical ジェーン・エア」松竹

公演期間中に、モントリオール映画祭で主演作の「ヴィヨンの妻」(根岸吉太郎監督)を受賞したというニュースも飛び込んできた(監督賞だが)松たか子がヒロインを演じる松竹製作のミュージカル。 両親を突然の病気で亡くしたジェーン・エア(松たか子)は寄…

「互角」げんこつ団

わが道を往く女子たちの和製モンティ・パイソン、げんこつ団。いや、ルーツこそパイソンズなのだろうけど、すでにげんこつ団以外の何者でもない個性もしっかりと築いている彼女たちによるほぼ一年ぶりの公演。 国に住み国の保護を受け国のために働いては、国…

「悪趣味」柿喰う客第15回公演

柿喰う客が結成5周年というのに、ややびっくり。いや、てっきりもっと年数を重ねているものと思いこんでました。 北東北の山深き寒村、霧田村。人を食い殺す"化け狐"伝説が残るこの村で、身元不明の惨殺死体が見つかった時、村人たちの運命の歯車は、少しず…

「グロテスク」国分寺大人倶楽部 第五回公演

主宰の河西裕介がポツドールへの客演でおなじみなことから、三浦大輔のエピゴーネンと思われることもあるようだが、なかなかどうして、彼らならではの独自性も感じられて。まだまだ手探りの段階だと思うが、これからが楽しみな国分寺大人倶楽部の1年ぶりの…

「トラベリング・オン・ザ・シャーレ」カムヰヤッセン第4回公演

今年上期のちょっとした衝撃だった「レドモン」@王子小劇場のカムヰヤッセン。主宰の北川大輔は、東京大学の劇団綺畸にいた人のようで、2008年に独立して学内で旗揚げ。今回のGreen55学生芸術祭vol.3への参加も、東大代表という位置づけのようだ。 近未来の…

「暗ポップ」空間ゼリーvol.11

「I do I want」@サンモールスタジオから、ほぼ1年というインターバルを経ての新作「暗(くら)ポップ」。その間に、メンバーから岡田あがさの名が消えて。 ある病院におけるグループセラピーの一週間コース。心療内科の新しい試みだが、セラピーの目的は…

「サマーゴーサマー」あひるなんちゃら

駄弁芝居というキャッチフレーズも定着して久しいあひるなんちゃら。駄弁とはいうけど、なかなかどうして、彼らお得意のちょっとファニーな世界は、大いに心を癒してくれるわけで。そんなあひるなんちゃらの夏をテーマにした新作。 繁盛しているようには見え…

「狭き門より入れ」PARCO presents

この公演を企画するteam申(チームさる)は佐々木蔵之介の演劇ユニットだが、前川知大とのコンビは二年前の2回目だった「抜け穴の会議室」に引き続いて二度目のこと。(ちなみに、旗揚げの「ときには父のない子のように」は、蓬莱竜太の作・演出だった) (…

「マリー・ド・ブランヴィリエ侯爵夫人」DULL-COLORED POP 第8回公演

これまで観たのは3公演で、それぞれまったく方向性は異なるのに、DULL-COLORED POP独自のカラーのようなものが、例外なく打ち出されていたのには感心させられた。さて今回は、近世フランスを舞台に実在したというシリアルキラー(殺人狂)の物語とのことで。…

「ハッシャ・バイ」虚構の劇団第三回公演

この日、座・高円寺1の観客の平均年齢は、おそらくわたしの歳を上回っていたのではないかと思われる。還暦前後と思しき善男善女に囲まれての小劇場芝居の観劇。なんとも稀有な体験というほかない。 ある日、一人の探偵事務所を訪ねた依頼人は「いつも同じ夢…

「サスラウビート」カナデコトビート第3回公演

カナデコトビートは、青年団演出部の相馬加奈子が主宰する演劇ユニット。彼女が早稲田大学演劇倶楽部時代の2008年結成で、どらま館での2回の公演を経て、あっという間の王子小劇場進出。 日本の西の方の島。比較的、美人、島美人のサルビアとユーカリ姉妹は…

「五人の執事」パラドックス定数第19項

独特のストイシズムと社会派の心意気で、わが道を往く感のある野木萌葱とパラドックス定数。今回のテーマは、手強い星のホール@三鷹芸術文化センターの空間だったと思う。 五人の執事が暮らす屋敷。執事たちには、それぞれに屋敷や主人とかかわってきた歴史…

「すこし離れて、そこに居て」散歩道楽2009夏

スケジュールの都合があって前作(「レモン・スター」)はスキップしてしまったので、久々の散歩道楽。(2007年の「西国分寺物語」以来か)中規模劇場シアター・サンモールへの進出作で、第三舞台の大高洋夫を客演に迎えての新作公演。 東京近郊の小さな町。…

「来来来来来」劇団、本谷有希子 第14回公演

パルコ劇場のプロデュース公演だった「幸せ最高ありがとうマジで!」で、めでたく岸田賞を受賞。劇団としては2007年の「偏路」以来となる本谷有希子の新作。 (以下、ネタバレを含みます。未見の方はご注意を!) 山間の小さな集落。蓉子は、この町の麩焼き場…

「怪談牡丹灯篭」シス・カンパニー

怪談としておなじみの牡丹灯篭の物語が、そもそもは中国のもの(明の時代)であることをおさらいしたのは、つい先日の「奇ッ怪」@シアタートラムでのこと。日本でのポピュラリティは、明治に入って三遊亭朝圓の人情噺「怪談牡丹灯籠」と、三世河竹新七によ…

「アタシだけ超怒られた」バナナ学園純情乙女組 6時間目〜ダブリました公演〜

これまでの初日に(そして楽日になっても)脚本があがっていない(!)というはんちくな舞台でも、実はそれなりに楽しめてました、わたしの場合。その理由は何なのかと考えるに、物語にも、役者にも、相当にプリミティヴな演劇衝動(?)のようなものが満ち…

「肩の上で踊るロマンシングガール」佐藤の、第一回公演

ただいま売り出し中(?)の佐藤みゆきのソロ・ユニット。(同胞の川連太陽がスタッフとして参加しているようだが)といっても一人芝居ではなく、ひょっとこ乱舞の大輪、根岸絵美を招いての第一回公演。 僕と加南子は付き合ってから3年で、なんとなくそのま…

「常に最高の状態」劇団、江本純子vol.2

毛皮族とその周辺の活動では、作・演出ともに卵の殻を引き摺っている感のあった江本純子だけど、今回の3か月連続上演の目的は、そこからのステップアップではないかと勝手に思っているわたし。酸いも甘いも知り尽くした町田マリーとの「まじめな話」がホッ…

「アルバトロス」ホチキスvol.23

気がつくと2時間超。確か、前にも同じ思いを抱いた記憶が。ホチキス、饒舌だよなぁ。 リストラで会社をクビになった事を家族に言えないまま、毎日妻から弁当を受け取って出社するふりをする中年のサラリーマン(加藤敦)。一方、ローカルテレビのドッキリ番…