2007-09-01から1ヶ月間の記事一覧
旧作2、新作1の合計3本で、東京デスロックの過去、現在、未来(?)を一気にみせようという大胆にして、嬉しい公演。初日の作品解説で、客演したハイバイの岩井が、多田淳之介の実験精神を評して「勇敢」といっていたけれど、実はそんな多田の芝居を3本…
「相続人」で第10回日本ホラー大賞の優秀賞を受賞した作者が、初めてホラー大賞を主宰する角川書店の引力圏を離れて書き下ろした長篇小説。(「相続人」をはじめ、過去の「オリフィス」「ゲスト」はすべて角川ホラー文庫)才能のある人なのに去年は新作の上…
芝居のことを書き留めるので精一杯なため、それ以外の記録がおろそかになってしまって、いかん、いかん。本作は、過去に錚々たる受賞者が並ぶ野間文芸新人賞を2005年に受賞した女性作家の新作である。(受賞作は、「ふたり乗り」) 女ともだちの紹介で、よく…
脱力系のなんともいえない存在感で、独自のステータスを築きつつあるロリータ男爵の丹野晶子だが、その彼女を主演に迎えたマダマダムーンのプロデュース公演である。客入れの音楽に、懐かしの火曜サスペンス劇場のテーマソングが流れる中、室内がブルーに統…
誰の目にどこでどうとまったかはまったく不明だが、シベリア少女鉄道で急成長の篠塚茜の客演、それも吉本興業の舞台だ。とにかく前回公演の「永遠かもしれない」が、想定外の(?)良い出来映えで、それに大きく貢献した彼女。そんな注目株の外部出演とあれ…
ペテカンの芝居は過去に2回観ていて、最初はコント集、二度目は昔ながらの下宿屋を舞台にした人情喜劇風のドラマだった。前者を洗練とすれば、後者は土臭いもので、彼らの面白さはどちらかといえば前者にあるように思っているわたし。新作は、そのちょうど…
2002年、主宰のこまつみつるを中心に、早稲田大学の中で劇団結成。裸で構内を暴走し、それを劇場に生中継するなどの武勇伝(?)も伝え聞くけれど、2004年の佐藤佐吉賞受賞あたりを境に、劇団としての方向性を見直しているさ中とか。 たった四部屋し…
実は、ちょっと前からこの横浜を拠点に活動しているカンパニーを無性に観てみたいな、という気持ちが高まってきていたところ、向こうから赤坂にやってきてくれた感じで。2003年旗揚げで(前身のフランケンシュタイナーは1998年スタート)、翻訳劇ばかりをと…
1984年、脚本、演出のはせひろいちを中心に、岐阜大学OBによって結成され、89年から現在の劇団名を名乗るようになったジャブジャブサーキット。公演は名古屋と東京が多く、主宰のはせひろいちは、「サイコの晩餐」が第49回、「歪みたがる隊列」が第51回岸…
サンプルは青年団の松井周率いるユニットで、自らの作品を演出、上演することを目的としていると思しい。青年団若手自主企画の冠がとれて2作目だが、今回は、青年団リンクも外れての独立公演。わたしは、去年アトリエ春風舎で「地下室」を見ており、自然食…
会場のSTホールは、中野成樹とフランケンズとかがよく使っている会場ですね。といっても、わたしは初めて。いやね、ほんのお隣とはいっても、東京から横浜は、実際の距離よりも隔たっている感じがあって、ついつい足を運ぶのが億劫になってしまいがちなん…
和のプログレとしては極北の存在ともいうべき絶対無と中島一晃(ex.ページェント)率いる浪漫座別館のジョイント。89年のアルバムデビュー以来、孤高の道を往く感のある絶対無は、たまたま聴いた「花魁」(2005年4th)が素晴らしかった。浪漫座別館は、去年…
ほぼ1年ぶりのピチチ5(クインテット)。(ついついファイブと呼んでしまうので、またもや括弧書きにしてしまいました)年末のお台場と春にコンテスト(駅前劇場)があったけど、それはパスしている。例によって、福原充則書き下ろしの強烈にオフビートな…
前説によれば、通常の劇場での公演とは別に、この劇団では年に1度くらいずつ劇場以外で芝居を上演しているとのこと。芝居と観客の距離をぐっと縮めてくれる、悪くない企画だ。今回の会場、茶房高円寺書林は、高円寺駅北口に広がる商店街の中をずんずん進んで…
今回の公演は、〈知らない〉シリーズ2作品の再演とのことだが、シリーズといっても、共通するのはタイトルと文学者にまつわるモチーフ(宮沢賢治と石川啄木)だけで、この「石川のことはよく知らない」ともうひとつの「けんじのことはよく知らない」に、内…
2005年10月に、劇団の第6回公演としてサンモールスタジオで上演された作品の再演。その翌年には、G-upがTHE SHAMPOO HATの赤堀雅秋を演出に招いて上演した。わたしはそちらしか観ていないが、強烈な印象で忘れられない作品となった。というわけで、期待が膨…
わたしの記憶している範囲では、東京進出後、新宿ゴールデン街劇場、タイニィアリス、ザムザ阿佐ヶ谷、シアターグリーン、こまばアゴラ劇場と、まさに出世魚のように、都内に主だった劇場の階段を駆け上がってきた感のある劇団鹿殺し。「すけだち」、「魔人…
零式は、2000年に劇作家新井哲が役者加藤めぐみとともに旗揚げ。その名の由来は、零(ゼロ)こそ、プラスとマイナスが永久に衝突し続ける此岸とのこと、なるほど。わたしは、空間ゼリーの「ゼリーの空間」で印象深かった女優岡田あがさの所属カンパニーとし…
人呼んで、大人のラブコメ。というわけで、テイストはとてつもなくビターだ。個人的には、8月の客演を病欠した高木珠里の元気な姿を観たくて。もちろん、宝船がわざわざ「情念の宴」と銘打つディープな世界もおおいに気にかかるところで。 どこかぱっとしな…
ちょっと驚いたのだけれど、このブログのアクセス解析を見ると、検索キーワードのかなり上位に小倉ちひろの名が出てくる。人気あるんですね、彼女。(実はわたしも贔屓です)その唯一の所属女優小倉ちひろが去って初の公演となる名越健太郎のユニットsmartba…
ニチゲー演劇学科の女性たちを中心に構成される空間ゼリー。前回の「ゼリーな空間」は、女子高校のクラスひとつをまるごと描く作品で、平均年齢20歳という彼女らの感性がフルに発揮された舞台だった。今回は初の再演で、第4回公演の「穢レ知ラズ」をリメイ…
自ら率いる阿佐ヶ谷スパイダースを拠点に、パルコ劇場、新国立劇場と活動の場を広げる長塚圭史の新作にしてシアター・コクーン進出作。神に祈る吸血鬼というアイデアが出発点だったらしく、それがそのままモチーフになっている。主演の市川海老蔵が、以前か…
懐かしい新感線が帰ってきた。チープな芝居に、こてこてのサービス精神を込め、舞台の上の役者達も思う存分遊んでしまうという路線への久々の回帰。クドカンの招請で、大人計画のバッドテイストもほのかに薫るが、脚本と演出は紛うかたなきいのうえひでのり…
ネット周辺でも、この新作がそこそこいい評価を得ている柿食う客。青山学院大学演劇研究会に所属していた中屋敷法仁が在学中に立ち上げ、2004年に旗揚げ公演を行っている。以降、企画公演を含めると年に5回という、若さなくしては出来ない精力的な活動を展…
かつて人気絶頂だった花組芝居を、暑い、狭い、苦しいの三拍子揃った拷問のような桟敷席で観た記憶は今何処。最近はめっきり、椅子なしのベタ座りが苦手になりました。先日のロリータ男爵も、自由席が桟敷だというのをすっかり忘れてて、腰痛になりました。…
ブログを公開している演劇関係者は多いけど、劇団からのノルマだったり、三日坊主だったりで、ご本人のポジティブなスタンスが伺えるものは実は少ない。その少ないもののうち、お気に入りをブックマークして読んでいるのだが、最近面白いのはケラの「日々是…