(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

2005-02-01から1ヶ月間の記事一覧

〝サスペクト・ゼロ〟(2004)

サイコロジカル・スリラーは、浸透と変容の時代を迎えている。「羊たちの沈黙」をコアとしたブームはすでに過去のものとなり、次世代の作家や映像作家たちが新たに活躍の場を広げつつある。かつて動機のない殺人は、生真面目なミステリ・ファンのやり玉にあげ…

〝悪魔の唄〟阿佐ヶ谷スパイダースPresents

情けない。仕事にかまけて、前売りで買った平日のマチネをすっとばしてしまった。しかし、今回を見逃すとこの劇団の次の公演は、来年までない。こうなったら、当日券しかない!、というわけで、土曜日のマチネ、風がヒューヒュー吹き込む本多劇場の入り口階…

〝テイキング・ライブス〟D・J・カルーソー監督(2004)

サイコ・スリラーの時代は終わった、という見方は今や一般的なものかもしれない。しかし、それは間違いである。異常心理を扱った小説や映画がもてはやされた一種のブームのような状態は、確かにすでに終焉を迎えた。しかし、かつてのブームを滋養としたサイ…

キングのようでキングじゃない 『BT’63』

作家は、よく化けると言われる。そういう瞬間に立ち会うことが、読者にとっては冥利だとも言う。池井戸潤という作家にとって、そういう節目は『BT‘63』(2003年6月、朝日新聞社刊)という作品ではなかったかと思っている。98年に「果つる底なき」…

「な・ま・し・び・れ・な・ま・め・ま・い」に感じる恋の予感

いや、もう恋は始まっているのかもしれない。というのは、ゆらゆら帝国というバンドに対する思いである。ゆらゆら帝国というバンド名を初めて耳にしたのは、もうずいぶんと昔だけれど、彼らの音を正面から聴いたのは、神保町のディスクユニオンに並んでいる…

AZOTH 〜PROGRESSIVE LIVE 2005〜@吉祥寺SILVER ELEPHANT

プログレ・ファンを長く続けているせいで、プログレ史の生き証人のような気分になることがある。というのも、去年の秋、アゾートがデビューから24年目にファーストアルバム〝THE AWKWARD AGE'S END〟をリリースした際、レコ発ライブをやったのだけれど、そ…

リーダーシップの証、浜田亜紀子の『キラリ』

ネオGSな人々の口にのぼるフェイバリット・アーティスト名を頼りに、昨年になってようやくGO!GO!7188に辿り着いた身としては、『竜舌蘭』のリリース、初の武道館コンサートと、テンションの高いまま俄かファンの日々を送ってきたが、今年になってSHIBUYA-A…

〝デンキ島 松田リカ編〟モダンスイマーズ第7回公演

〝ザ・ポケット〟は、中野の住宅街の中にある。劇場経営者は、近隣対策とかいろいろと大変だろうけれど、芝居ファンだったら、こういう小屋が近所にあるのは、羨ましいと思うに違いない。JR中野駅から徒歩5分で、電柱なんかの道案内が親切で、入り組んだ…

フロントウーマンゆうの持ち歌ショーケース『てんのみかく』

GO!GO!7188におけるリーダーシップについては、浜田亜紀子の『キラリ』のところで勝手な憶測を書いたけれど、ライブを観たことのない音楽ファンは、単純に彼らの曲をほとんど一人で書き、リードボーカルとギターを担当するゆうこと中島優美こそが、バンドを…

松永貴志@舞浜Club IKSPIARI

舞浜のディズニーランドに併設されたイクスピアリに、ジャズ系のライブハウスがオープンしたというニュースが伝わってきたは、昨年の11月のことだったか。なかなか足を運ぶ機会がなかったのだけれど、ブルーノート・レーベル史上最年少リーダー録音記録を…

〝スパニッシュ・プリズナー〟(1997)

タイトルの「スペインの虜」とは、古くからある詐欺の手口を指す言葉である。すなわち、スペインからの亡命貴族を名乗る男が、こう持ち掛ける。母国で美貌の妹が囚われの身となっている。ついては、妹を救出するために、金銭的に援助してほしい、と。貴族は、…

恩田陸の新作『ユージニア』の開いた閉じ方

去年の話題作『夜のピクニック』は、いわば恩田陸のもうひとつの顔だった、と言ってもいいだろう。田舎、高校生、親友などのキーワードで括られるノスタルジーと暖かさが心にしみる物語で、先の直木賞の候補にあがらなかったのは、本当に不思議でならない。 …

〝誕生日はもう来ない〟(1981)

ホラー・ムービーのおたくだった時代がある。その頃は、年間ベストテンを選べるほど、ホラー映画を観てました。その中で、ひときわ強烈な印象が残っているのが、この映画です。フェアプレイかどうかはともかく、最後に明かされるミッシングリンクの種明かし…