(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

2008-04-01から1ヶ月間の記事一覧

「ヤクザとアリス」ろりえ第1回公演

所属役者の客演とか、オムニバス企画への参加とか、何かにつけ目にとまっていたので、今回が正式な旗揚げ公演とは、やや意外なろりえ。早稲田大学の劇研の支流にして、対極でもある早稲田演劇研究会に所属する劇団で、作・演出の奥山雄太はその通称エンクラ…

「贅沢ラム」クリウィムバアニー

クリウィムバアニーは、第15回ガーディアン・ガーデン演劇フェスティバルにおける昨年のコンペティションで二次選考の狭き門をくぐった団体のひとつ。イデビアン・クルーのダンサー菅尾なぎさが中心になって、2005年12月に旗揚げしたダンス・ユニットである…

「飛ぶ痛み」キリンバズウカ

大阪府立大学に在学中の登米裕一(作・演出)が、2002年に大阪で旗揚げ。観客動員を伸ばしながら、東京公演が予定されるまでの成功を収めるが、2005年にあえなく解散。主宰の登米は単独上京し、しばらく雌伏の期間を過ごしていたようだが、今年になってプロ…

「HIDE AND SEEK」パラドックス定数第15項

きっちりとした社会派の目線と、充実の男優陣を誇るパラドックス定数。今回はパスのつもりが、戦前の探偵小説界に材をとった内容と聞けば、どうにも気になってしまい、阿佐ヶ谷へと足が向くことに。 時は、昭和のはじめ。夜更け、机へと向かう作家のもとを、…

「愛のテール」ニットキャップシアター第23回公演

個性派の役者で、作・演出も担当するごまのはえ率いるニットキャップシアターは京都の劇団で、1999年旗揚げ。「愛のテール」は、大阪ガスが主催するOMS戯曲賞で大賞を受賞したという作品だ。今回は2003年に地元の京都で初演されたものの再演で、東京では初上…

「その鉄塔に男たちはいるという」*pnish*プロデュースvol.4

〈*pnish*〉と書いてパニッシュと読むそう。2001年にユニットをスタートさせ、青山劇場をめざして公演を重ねてきている…、ってのはHPに紹介されているこのユニット紹介の概略だが、そんな説明は不要かもしれない。すごい人気のようですね、世代を越えた女子…

「ハリジャン」InnocentSphere

InnocentSphereを観るのは2度目で、前回は2年前に今回と同じシアタートラムでの「ミライキ」だった。今回は、歌舞伎の世界から、四代目尾上松緑を客演に招いての新作公演である。 とある病院で起きた世間を揺るがす大事件。その重要参考人たる渋谷エビス(…

「おいでおいでぷす」青年団若手自主企画 vol.37

主宰するハイバイのほかに、昨年から青年団演出部にも所属している岩井秀人によるギリシャ悲劇「オイディプス」の現代口語バージョン。なんと今回のコンセプトは、松井周から聞きかじった「オイディプス」のあらすじを岩井が勝手に解釈して上演する、という…

「最北端の姉妹 次女のフクロウ」バジリコFバジオ

初期江古田ストアハウス時代の作品を4年ぶりに大幅リニューアルしての再演。「次女のフクロウ」と「長女のヒグマ」はバージョン違いではなく、1ヶ月という時間の経過を挟んで語られる、人物や舞台を同じくしながらもそれぞれが独立したお話である。 最北端…

四人囃子(ROCK LEGENDS)@水道橋JCBホール

CREATIONとのカップリング企画だが、四人囃子としてはアーカイブ音源のBOXセット「From the Vaults」の続編リリースに合わせてのライブで、7月にはフジファブリックとのジョイント(@恵比寿リキッドルーム)も予定されている。前回が、2003年秋プロコル・…

「ねずみ男」青年座第191回公演

3月に赤坂レッドシアターの「東京」があって、来月は所属劇団の本公演も控えている。おまけに、今月はENBUゼミの卒業公演まであって、大忙しの赤堀雅秋だが、青年座への書き下ろしは、2年前の「蛇」以来のこと。 真夏なのに、冷房もない日本家屋の居間。奇…

「49日後…」PARCO Presents

古田新太と池田成志が組んでの公演企画としては、「VAMP SHOW」(初演、1992年・三谷幸喜作)、「鈍獣」(2004年・宮藤官九郎作)に続く3度目とのこと。今回、二人の原案を脚本化するために呼ばれたのはデス電所の竹内佑で、この抜擢人事にも興味が集まると…

「西洋のレイルボーイズ」とくお組第11回公演

とくお組は、2003年に結成されたコメディ志向の劇団で、母体は慶應義塾大学の演劇サークル、演劇研究会と創像工房 in front of.。わたしは初見だが、昨年のフジテレビ主催の「T★1演劇グランプリ お台場SHOW-GEKI城」に「近未来パーク」という作品でエントリ…

「バーム・イン・ギリヤド」the companyオフ・ブロードウェイ・シリーズ

tptでもお馴染み、ロバート・アラン・アッカーマンがアーティスティック・ディレクターを務めるというthe companyのファーストシーズン冒頭を飾る一作は、シアターモリエールという小さな劇場の舞台をマンハッタンのダイナーに見立てた「バーム・イン・ギリ…

「ぐるぐる溺れ」はなムスび第2回公演

王子駅前のpit北/区域に足を踏み入れたのは初めてのこと。いやぁ、すごい劇場ですね。迷宮のような狭い通路を胎内巡りのように下へ下へと降りていくと、小さな劇場スペースに到着。キャパも小さいし、天井も低いけど、下北沢の楽園に近い感じ。観たのは、20…

OPUS AVANTRA@CLUB CITTA’川崎

オパス・アヴァントラは、セミラミスやビリエットなど名盤を世に送ったイタリアの幻のレーベル、トリデントの中でとりわけ神格化されていたアルバム「内省」が、なんといっても有名。かつては、再発はありえない、とまで言われ、ファンを嘆かせたこのアルバ…

散歩する侵略者/前川知大(短評)

「散歩する侵略者」は、ご存知劇団イキウメの出世作とも十八番ともいうべき作品で、座付き作家前川の現時点での代表作といっていいだろう。わたしは、赤堀雅秋演出が最初で、初演を見逃したイキウメ版はようやく再演で観たが、その面白さに舌を巻いた。 内容…

[演劇]「どん底」シアターコクーン・オンレパートリー2008

映画のジャン・ルノワールも黒澤明も観ている筈だが、なにせ昔のことなので細部をほとんど忘れてしまっている「どん底」。ロシアの文豪マクシム・ゴーリキーの戯曲は、貧困をテーマにした社会派の物語だと言われているが、100年前の黴臭さをどう料理し直…

[演劇]「刺青姫」劇団破戒オー!!!ハルランマン第七回公演

劇団破戒オー!!!は、大阪芸大のメンバーで2002年旗揚げ。その後、東京へ拠点を移して、昨年までに都合6回の公演を行っているようだ。ほぼ1年ぶりとなる今回の公演は、王子小劇場への進出作。 1997年関西のどこか。学園祭を明日に控え、生徒たちが楽しげに準…

[演劇]「私、わからぬ」空間ゼリーvol.9

前々作「ゼリーな空間」ではビビッドなハイスクールもの、前作「穢れ知らず」では民話とのシンクロニシティと、手をかえ品をかえながらも、テーマも表現も女性の視点や感性に根ざしたスタイルを突き進む空間ゼリー。旗揚げから5年目の新作である。 リストラ…

[音楽][ライブ]トッド・ラングレン@Billboard TOKYO

昨年のオープニングに、スティーリーダンがやってきて話題になった六本木のライブハウス、ビルボード東京。ラインアップを眺めていて、遠からず行くことになるだろうと思っていたけど、わたしの初体験はTodd Rundgrenということに。帰国後にスタートするらし…

[演劇]「錆花」TOCA*春公演

徒花*からTOCA*に表記を改めての公演。HPによれば、芝居、映像、文章、写真と彼らの活動の範囲は多岐にわたっているが、わたしが知ってる限りでは、演劇公演は昨年の冬公演「嘘を数える」@荻窪旅館西郊以来のはず。 都会から離れたとある田舎町の国道沿いに…

[演劇]「春を待つ」味わい堂々第2回公演

劇団のホームページによれば、味わい堂々は2006年10月頃に浅野千鶴、宮本奈津美、岸野聡子の女性三人により結成。わたしは、バジリコFバジオの『AC/DC WORLD'S END SCHOOL GIRL!!!!!』に宮本がいい感じで客演していたのを見かけ、なぜか気になる劇団と…

[演劇]「顔よ」ポツドールVol.17

早稲田演劇倶楽部出身、スタートを切ったのは96年だから、今年で干支も二順目に入るポツドール。ユニット内の強力なライバルである女版(溝口真希子が作・演出を担当)の第二弾「女の果て」@赤坂レッドシアターを挟んで、ほぼ一年ぶりの本多劇場である。 中…

[本]どろ/山本甲士(短評)

角川書店と東京放送が主催する横溝正史賞は、大賞を取るよりも、賞にかすったり、落選した方が作家として大成するという噂があったり、なかったり。鈴木光司、打海文三、霞流一とその名を挙げていけば、それもちょっとしたジンクスかも、と思えてくる。 第16…