(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

2007-01-01から1年間の記事一覧

リロ・グラ・シスタthe little glass sister/詠坂雄二(短評)

〈メフィスト賞〉の二匹目の泥鰌といった感じの〈Kappa-One登竜門〉だけれど、「本格推理」の常連たちがそのまま持ち上がった第一回(石持浅海、加々美雅之、東川篤哉、林泰広の四人)を除くと、どうもぱっとしない印象を抱いているのはわたしだけか。いや、…

「マシュマロ ホイップ パンク ロック」MCR

今回の公演は二本立てになっていて、こちらはそのもう一編。独立した一公演の扱いだが、「慈善MUST BE DIE」とまったく同じ舞台装置を使っての上演である。 ある病院の診察室。病院を訪れた男の訴えは、最近不思議な感覚に襲われるというものだった。突然や…

「慈善MUST BE DIE」MCR

劇団ホームページによれば、旗揚げは1994年で、その時の名は「殺害塩化ゴム」だったという。さすがにそれではまずかろうということで、無理やり英語に置き換えてMCR(Murder Chloride Rubber)になったとのことだが、むべなるかな。作、演出の櫻井智也(ドリ…

「楽園」モダンスイマーズ

これまでも再三書いたが、三鷹市芸術文化センター星のホールは、小劇場系の芝居には実に使い勝手が悪く出来ている。それに対して、さまざまなカンパニーが涙ぐましい工夫をしてきているが、今回のモダンスイマーズが見せた舞台装置はとりわけ秀逸だと思った…

「Mirror」jorro vol.6

前作「トライアウト」で、役者たちが台詞をゼロから模索していくというこのユニットの手法は、すでにある程度の完成を見ていたように思う。ただ、米村亮太朗や河西裕介の客演があったせいか、ポツドールを連想させたあたりが、もしかして彼らのオリジナリテ…

「その夜の侍」The Shampoo Hat第21回公演

2006年6月の「事件」以降のわずか3本しか観ていないけれども、The Shampoo Hatにおける赤堀雅秋は、あくまで作家(演出も含めて)であるというのが、個人的な印象。舞台にあがれば、時に、ギラりとした強烈な個性を見せるが、役者としての彼は全編を支える…

10月に観たい芝居

秋ですねぇ、いい季節になりました。芸術の秋にかこつけて劇場に入りびたりたいところなんですが、そろそろ仕事でお尻に火がつく時期ゆえ、いくつ観れるかが正直心配です。 例によって優先順位は初見の劇団だけれど、贔屓のjorro、PPPP、乞局、風琴工房…

筋肉少女帯 新人ツアー(デビュー19周年)@恵比寿LIQUIDROOM

アナログのメジャーデビューアルバム「仏陀L」には、「パンクでポン」のソノシートが初回特典でついてたよなぁ、なんてことを懐かしく思い出すほどのファン歴なのに、実は彼らのライブは初体験。去年の仲直りライブは、ぜんぜんチケットが手に入らなくって涙…

「月とテロル」G.O.D.system神様プロデュース

参加した世界SF大会の舞台裏で何か揉め事でもあったのか、公演直前に主演級の野口雄介が降板するニュースが伝わってきた神様プロデュース。でも、わたしの中では、前回公演の「TES.-the testament tester」が、今年上半期のベストのひとつとあっては、…

「演劇LOVE〜愛の3本立て〜」青年団リンク東京デスロックunlock#3

旧作2、新作1の合計3本で、東京デスロックの過去、現在、未来(?)を一気にみせようという大胆にして、嬉しい公演。初日の作品解説で、客演したハイバイの岩井が、多田淳之介の実験精神を評して「勇敢」といっていたけれど、実はそんな多田の芝居を3本…

生還者/保科昌彦(短評)

「相続人」で第10回日本ホラー大賞の優秀賞を受賞した作者が、初めてホラー大賞を主宰する角川書店の引力圏を離れて書き下ろした長篇小説。(「相続人」をはじめ、過去の「オリフィス」「ゲスト」はすべて角川ホラー文庫)才能のある人なのに去年は新作の上…

さよなら、日だまり/平田俊子(短評)

芝居のことを書き留めるので精一杯なため、それ以外の記録がおろそかになってしまって、いかん、いかん。本作は、過去に錚々たる受賞者が並ぶ野間文芸新人賞を2005年に受賞した女性作家の新作である。(受賞作は、「ふたり乗り」) 女ともだちの紹介で、よく…

「過剰サスペンス劇場/家政婦はいた」マダマダムーンプロデュース

脱力系のなんともいえない存在感で、独自のステータスを築きつつあるロリータ男爵の丹野晶子だが、その彼女を主演に迎えたマダマダムーンのプロデュース公演である。客入れの音楽に、懐かしの火曜サスペンス劇場のテーマソングが流れる中、室内がブルーに統…

「味噌SOUP」吉本興業

誰の目にどこでどうとまったかはまったく不明だが、シベリア少女鉄道で急成長の篠塚茜の客演、それも吉本興業の舞台だ。とにかく前回公演の「永遠かもしれない」が、想定外の(?)良い出来映えで、それに大きく貢献した彼女。そんな注目株の外部出演とあれ…

「彼のことを知る旅に出る」ペテカン

ペテカンの芝居は過去に2回観ていて、最初はコント集、二度目は昔ながらの下宿屋を舞台にした人情喜劇風のドラマだった。前者を洗練とすれば、後者は土臭いもので、彼らの面白さはどちらかといえば前者にあるように思っているわたし。新作は、そのちょうど…

「審判〜改訂版〜」コマツ企画第8回

2002年、主宰のこまつみつるを中心に、早稲田大学の中で劇団結成。裸で構内を暴走し、それを劇場に生中継するなどの武勇伝(?)も伝え聞くけれど、2004年の佐藤佐吉賞受賞あたりを境に、劇団としての方向性を見直しているさ中とか。 たった四部屋し…

「遊び半分」中野成樹+フランケンズ

実は、ちょっと前からこの横浜を拠点に活動しているカンパニーを無性に観てみたいな、という気持ちが高まってきていたところ、向こうから赤坂にやってきてくれた感じで。2003年旗揚げで(前身のフランケンシュタイナーは1998年スタート)、翻訳劇ばかりをと…

「アインシュタイン・ショック」劇団ジャブジャブサーキット第46回公演

1984年、脚本、演出のはせひろいちを中心に、岐阜大学OBによって結成され、89年から現在の劇団名を名乗るようになったジャブジャブサーキット。公演は名古屋と東京が多く、主宰のはせひろいちは、「サイコの晩餐」が第49回、「歪みたがる隊列」が第51回岸…

「カロリーの消費」サンプル02

サンプルは青年団の松井周率いるユニットで、自らの作品を演出、上演することを目的としていると思しい。青年団若手自主企画の冠がとれて2作目だが、今回は、青年団リンクも外れての独立公演。わたしは、去年アトリエ春風舎で「地下室」を見ており、自然食…

「[get] an apple on westside/R時のはなし」小指値 番外公演 横浜シリーズ

会場のSTホールは、中野成樹とフランケンズとかがよく使っている会場ですね。といっても、わたしは初めて。いやね、ほんのお隣とはいっても、東京から横浜は、実際の距離よりも隔たっている感じがあって、ついつい足を運ぶのが億劫になってしまいがちなん…

プログレ・オールスターズ Vol.3@沼袋Live House SANCTUARY

和のプログレとしては極北の存在ともいうべき絶対無と中島一晃(ex.ページェント)率いる浪漫座別館のジョイント。89年のアルバムデビュー以来、孤高の道を往く感のある絶対無は、たまたま聴いた「花魁」(2005年4th)が素晴らしかった。浪漫座別館は、去年…

「吐くな!飲み込め!甦れ!」ピチチ5

ほぼ1年ぶりのピチチ5(クインテット)。(ついついファイブと呼んでしまうので、またもや括弧書きにしてしまいました)年末のお台場と春にコンテスト(駅前劇場)があったけど、それはパスしている。例によって、福原充則書き下ろしの強烈にオフビートな…

「けんじのことはよく知らない」東京ネジ第8回公演(その1)

前説によれば、通常の劇場での公演とは別に、この劇団では年に1度くらいずつ劇場以外で芝居を上演しているとのこと。芝居と観客の距離をぐっと縮めてくれる、悪くない企画だ。今回の会場、茶房高円寺書林は、高円寺駅北口に広がる商店街の中をずんずん進んで…

「石川のことはよく知らない」東京ネジ第8回公演(その2)

今回の公演は、〈知らない〉シリーズ2作品の再演とのことだが、シリーズといっても、共通するのはタイトルと文学者にまつわるモチーフ(宮沢賢治と石川啄木)だけで、この「石川のことはよく知らない」ともうひとつの「けんじのことはよく知らない」に、内…

「散歩する侵略者」イキウメ

2005年10月に、劇団の第6回公演としてサンモールスタジオで上演された作品の再演。その翌年には、G-upがTHE SHAMPOO HATの赤堀雅秋を演出に招いて上演した。わたしはそちらしか観ていないが、強烈な印象で忘れられない作品となった。というわけで、期待が膨…

「殺ROCK ME!〜サロメ〜」劇団鹿殺し 第16回公演

わたしの記憶している範囲では、東京進出後、新宿ゴールデン街劇場、タイニィアリス、ザムザ阿佐ヶ谷、シアターグリーン、こまばアゴラ劇場と、まさに出世魚のように、都内に主だった劇場の階段を駆け上がってきた感のある劇団鹿殺し。「すけだち」、「魔人…

「K(ケー)」零式第9回公演

零式は、2000年に劇作家新井哲が役者加藤めぐみとともに旗揚げ。その名の由来は、零(ゼロ)こそ、プラスとマイナスが永久に衝突し続ける此岸とのこと、なるほど。わたしは、空間ゼリーの「ゼリーの空間」で印象深かった女優岡田あがさの所属カンパニーとし…

「最愛」劇団宝船情念の宴公演

人呼んで、大人のラブコメ。というわけで、テイストはとてつもなくビターだ。個人的には、8月の客演を病欠した高木珠里の元気な姿を観たくて。もちろん、宝船がわざわざ「情念の宴」と銘打つディープな世界もおおいに気にかかるところで。 どこかぱっとしな…

「The Perfect Drug」smartball

ちょっと驚いたのだけれど、このブログのアクセス解析を見ると、検索キーワードのかなり上位に小倉ちひろの名が出てくる。人気あるんですね、彼女。(実はわたしも贔屓です)その唯一の所属女優小倉ちひろが去って初の公演となる名越健太郎のユニットsmartba…

「穢れ知らず」空間ゼリーvol.9

ニチゲー演劇学科の女性たちを中心に構成される空間ゼリー。前回の「ゼリーな空間」は、女子高校のクラスひとつをまるごと描く作品で、平均年齢20歳という彼女らの感性がフルに発揮された舞台だった。今回は初の再演で、第4回公演の「穢レ知ラズ」をリメイ…