(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

「味噌SOUP」吉本興業

誰の目にどこでどうとまったかはまったく不明だが、シベリア少女鉄道で急成長の篠塚茜の客演、それも吉本興業の舞台だ。とにかく前回公演の「永遠かもしれない」が、想定外の(?)良い出来映えで、それに大きく貢献した彼女。そんな注目株の外部出演とあれば、観ないわけにはいかなくて。
アジアの新興国、しかし外交官にとっては僻地への赴任はほぼ左遷と同じで、日々ぼやいてばかりの大使館員(石井正則)。その日本大使館には、専属の料理人(黒田有)がいるが、この男、ほとんどうどんしか作らない。ある日、ひとりの少女(篠塚茜)が人捜しで、大使館を訪れた。しかし、折りしも持ち上がった反日デモの騒動に巻き込まれ、彼女はデモを鎮めるために人気者のアイドルになりすますことに。
制作サイドの手抜きばかりが目立つ、退屈な2時間。大使館に出入りする現地の女を演じる平田敦子はいつも通り、石井もまぁそれなりで悪くない。しかし、話がお手軽なうえに、主役の黒田がここまで舞台下手だと、ちょっと救いようがない。
お目当ての篠塚茜も、がんばってはいるものの気後れ気味。そもそも、彼女の役どころに面白味がないのだから、あながち彼女の経験不足を責められない。座長にあたる黒田が不慣れなせいもあるだろうし、初日でもあった。しかし、脚本といい、主演といい、そもそも企画自体に無理があるのではないか、この芝居。(110分)※30日まで。その後、大阪公演あり。

■データ
ひとつも笑いどころがなくて困った初日ソワレ/新宿御苑シアターサンモール
9・26〜9・30(東京公演)

作/上田信彦 演出/永峰明
出演/黒田有メッセンジャー)、石井正則アリtoキリギリス)、平田敦子、篠塚茜(シベリア少女鉄道