(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

「吐くな!飲み込め!甦れ!」ピチチ5

ほぼ1年ぶりのピチチ5(クインテット)。(ついついファイブと呼んでしまうので、またもや括弧書きにしてしまいました)年末のお台場と春にコンテスト(駅前劇場)があったけど、それはパスしている。例によって、福原充則書き下ろしの強烈にオフビートなコントの4連発。
ひと昔前は人気のあったシンガー・ソングライターが落ちるところまで落ちて。落ちぶれた夫を前に妻は…。(「フォークの神様」)、もてない男がもてた。それを悩む男は、頼りにならない友人たちに相談を持ちかけたのが失敗で。(「俺よ、さらば」)借金まみれの工場主。親孝行の娘は、病気のふりをして借金取りを追い払うが。(「2007年霧中の旅」)、いい歳をして、ハンバーガー屋でバイトをする中年男。しかし、年下の先輩たちにも悩みがあるようで。(「独裁ミー!」)
あまりにアクと毒の強い世界なので、脳が馴れるまでに時間がかかるピチチのコント。(前回も、確かそうでした)というわけで、こちらの脳がやっと慣れたのは3作目で、大西演じる孝行娘の悲劇に、ちょっとじーんとしてしまいました。しかし、その直後、お得意の無謀な場面があって、愕然。
無謀という点では、最後の「独裁ミー!」も凄い。ダメ男たちの行き場探しで、北朝鮮がキーワードになっているところに爆笑。しかし、コントの部分も愉快だけれど、強引に自転車に話をもっていき、大仕掛けな舞台装置を出してきたのには、感動に近い驚きをおぼえました。しかし、自転車好きですね、福原氏。去年のクライマックスも、そういえば自転車でした。(90分)

■データ
客席前方の作りでクライマックスを開演前に予感した初日ソワレ/下北沢駅前劇場
9・14〜9・18
作・演出/福原充則 
出演/植田裕一(蜜)、碓井清喜、オマンサタバサ(ゴキブリコンビナート)、竹井亮介(親族代表)、中西広和(温泉きのこ)、三浦竜一、三土幸敏(くねくねし)、吉見匡雄、山下純(こどもとあそぶ)、大西智子(あなざーわーくす)
舞台監督/中西隆雄 照明/河上賢一(La sens) 音響/中村嘉宏 舞台美術/稲田美智子 大道具/岩田暁 宣伝美術/岡屋出海 制作/三村里奈