(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

「審判〜改訂版〜」コマツ企画第8回

2002年、主宰のこまつみつるを中心に、早稲田大学の中で劇団結成。裸で構内を暴走し、それを劇場に生中継するなどの武勇伝(?)も伝え聞くけれど、2004年の佐藤佐吉賞受賞あたりを境に、劇団としての方向性を見直しているさ中とか。
たった四部屋しかいないボロアパート。今どき珍しい管理人は、何かというとあれこれ入居者に小言をくれ、煩がられている。ある朝、外の様子がおかしいので、TVをつけてみると、隣のマンションで何やら事件が起きているらしい。アパート前の一本道は、大勢のマスコミが押しかけ、カメラを構えているいて、気がつくと入居者たちは外出できなくなっていた。管理人は、長期戦に備え、大学時代の後輩に電話し、非常食などを調達するが、混乱情況にある彼らで、ひと儲けを企むマスコミのゲリラ的な取材もあって。
管理人、入居者、そしてその友人たちの合計9人の密室劇。人の出入りや、動きはあるが、ほぼ彼らの会話だけで全編を通して飽かせないのが、なんといっても立派だと思う。劇団の男優陣の達者さがあってこそのものだろう。
ただ、弱点はいくつかあって、そもそも彼らが閉じ込められるシチュエーション(外出できないという状況)に説得力が欠けていることと、女性たちだけの会話の場面がちっとも面白くないこと。さらに欲を言えば、マスコミのゲリラ的な取材も、もっと不気味であっていいし、入居者間の恋愛トラブルも、単調すぎるきらいがある。そのあたりを磨けば、緊張感がぐっと増して、さらに面白くなるに違いないと思うのだが。(100分)

■データ
おまけはありませんというお断りがわざわざ冒頭にあった最終日ソワレ/ザムザ阿佐ヶ谷
9・21〜9・24
出演/本井博之、浦井大輔、川島潤哉、高山銀平(カカフカカ企画)、末原拓馬(おぼんろ)、相馬加奈子、斎田智恵子、伊藤千春、横山真弓、こまつみちる