(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

2006-01-01から1年間の記事一覧

〝Cat In The Red Boots〟SHINKANSEN☆NEXUS vol.2

劇団新感線のNEXUSがつく公演は、ありていにいってしまえば、アイドル系のプロダクションと提携し、商業ペースに乗っかり、低年齢層をも視野にいれた比較的軽いお芝居をやるというコンセプトだと思うのだけれど、中島かずきの作でもなければ、主役級の出演も…

新宿アウトロー ぶっ飛ばせ(藤田敏八監督/1970年)

【物語】 傷害事件で臭い飯を食い、仮釈放で出所した西神勇次(渡哲也)は、通称シニガミと呼ばれ、ヤバイ世界でも恐れられていた男。勇次の出所を出迎えたのは、直と名乗る青年(原田芳雄)で、マリファナの密売に手を染めていた。ところが、最近取り引きで…

〝Maggie〟スロウライダー第8回公演

スロウライダーは、ポツドールなどを出した早稲田大学の演劇倶楽部でユニットを解散した山中隆次郎が、やはり学内で演劇をやってした知人の三好佐智子、芦原健介に声をかけ、2001年にスタートさせたという。山中の作、演出による公演は、一作ごとに評価…

〝UNDER GROUND〟庭劇団ペニノThe 13th garden

そもそも〝庭劇団〟とは何か?という素朴な疑問にとらわれてしまう庭劇団ペニノ。作・演出のタニノクロウを中心に、2000年に旗揚げ。医大で学生演劇をやっていたタニノが、卒業後もそれを継続するために立ち上げた劇団のようだが、当時のメンバーはいま…

〝ヘ音記号の果物〟蜻蛉玉第12回公演

ちょっとへなちょこ(失礼!)な、でも印象的な手書き文字によるチラシがいつも目にとまる蜻蛉玉。2001年に脚本・演出の島林愛を中心に、桜美林大学の学生たちにより旗揚げされたらしい。女性中心の劇団員で構成され、とりあげられるテーマも女性にまつ…

〝山犬〟劇団鹿殺しオルタナティブズVol.1

芝居好きの知人がわざわざ「どう思うか?」と訊くので、よほど既存の枠から外れているのだろうと思っていた劇団鹿殺し。前回、タイニィアリスでの〝SALOMEEEEEEE!!!〟は残念ながら見られなかったが、早くも次回公演。しかし、今回の〝山犬〟…

〝猿の惑星は地球〟クロムモリブデン

クロムモリブデンという、航空機や自動車などに使われる熱に強い鋼材をネーミングした劇団は、作・演出の青木秀樹を中心に大阪芸術大学出身のメンバーで結成され、1989年に旗揚げされたらしい。出自からはアート系と察せられ、なるほど、衣装担当の人の…

〝泥棒役者〟劇団たいしゅう小説家

お笑い系としてラーメンズというコンビに人気あって、かなり面白いらしいという噂は、どこからともなく伝わってきていたが、ラーメンズ自体がTVとかのメディアには登場しないし、わたしの守備範囲ではほとんどといっていいほど目にとまらない。でも、絶賛…

〝立待月−隣の女−〟東京タンバリン(Mitaka 〝Next〟 Selection 7th)

さて「ワルツ」からのつづき。 100の家族がいれば、そこに100のドラマがあるのは当然で、東京タンバリンという劇団のひとつのキーワードであるらしい〝ナンセンスホームドラマ〟も、またそのいうもののひとつを掬い上げる、という試みなのかもしれない。…

〝ワルツ−隣の男−〟東京タンバリン(Mitaka 〝Next〟 Selection 7th)

東京タンバリンは、青年団出身で女優でもある劇作家の高井浩子が主宰する劇団で、1995年の旗揚げ以来、コンスタントに活動を続けている。わたしは、所属の役者さんの客演をよその芝居で観たことはあるけれど、本公演は初めて。三鷹市芸術文化センター主…

〝おやすみ、おじさん〟劇団桃唄309

東京をホームグラウンドにする6劇団がこぞって京都で出張公演を行った今年の夏のTOKYOSCAPEだけれど、そこからの凱旋公演という形になった桃唄309の〝おやすみ、おじさん〟。この作品は、2003年が初演で、今回はその再演。1987年に旗…

〝トリアージ〟双数姉妹

タイトルの〝トリアージ〟とは、緊急事態下において病人やけが人を救出し、ケアする優先順位のことだ。生存者数を最大にすることを目的とした原理であり、軽傷者や生存の見込みのない重傷者の治療を拒否するという非情な側面もある。 幕開き、惨事(それが何…

〝ギロンと探偵の冒険/ハリスさん新聞社〟トリのマーク(通称)

劇団名が鳥のシルエットで、読み方は自由という〝トリのマーク(通称)〟は、今年、豊島区西巣鴨にある廃校となった中学校の校舎を利用したにしすがも創造舎という会場で、〝ギロンと探偵のいる2年1組〟というスペースをオープンし、親子対象のワークショッ…

〝プレイヤー〟イキウメ第7回公演

なにしろ、6月のG−upプレゼンツ、赤堀雅秋演出の〝散歩する侵略者〟(新宿スペース107)が強烈だった本家イキウメの新作である。春の短篇アンソロジー以来、来年までお預けの筈だった本公演が、短期間ながら実現したのは嬉しい。 イントロダクション…

〝噂の男〟

脚本の福島三郎は、東京サンシャインボーイズの流れをくむ人で、どちらかといえばウェルメイドな芝居を得意とするタイプ。一方、演出のケラは、言わずと知れたバッドテイストの人。というわけで、この水と油の組み合わせこそが、〝噂の男〟の見所となるのは…

〝黄金街の首縊りの家〟劇団阿佐ヶ谷南南京小僧

演目のタイトルは、横溝正史からの本歌取りだろう。というわけで、まずはミステリ・ファンとしての記憶の整理から。昭和40年代、横溝正史はほぼ忘れられた作家として扱われていたといっても過言ではない。書店では、〝本陣殺人事件〟や〝蝶々殺人事件〟を…

〝道子の調査〟ペンギンプルペイルパイルズ

商業演劇という括りかたが妥当かどうかちょっと自信ないが、しかし先のパルコ劇場の〝開放弦〟は、本作に較べれば、良くも悪くも商業演劇だったなぁ、と思うことしきり。〝ワンマン・ ショー〟で第48回岸田國士戯曲賞を受賞している劇作家の倉持裕(ゆたか)…

〝バイエル と 女中たち〟ころがす#1

〝ころがす〟は、劇作家岸井大輔とその弟子田口アヤコによるユニット名。そのユニットが、〝バイエルと女中たち〟と銘打ち、〝1988年6月30日、あるいはバイエル〟と〝手を離したとき目をつむっていたのか それとも最初から目はつぶれていたのか〜ジャ…

戸川純@南青山マンダラ(戸川京子追悼ライブ)

とりあえず、セットリストを載せときます。 追記の予定。 2006/08/22 戸川純@南青山マンダラ セット・リスト◆第1部 1.遅咲きガール 2.ヘリクツBOY 3.Yesterday Yes a Day 4.無題 5.諦念プシガンガ 6.吹けば飛ぶよな男だが 7.バージン・ブル…

〝忄(りっしんべん)〟親族代表

おぼん休みでしばらく東京を離れていました。悔しいのは、空想組曲、空間ゼリーなどを見逃したことでしょうか。半月近くの空白で、すでに記憶が薄れつつあるという情けなさですが、忘れないうちに親族代表の〝忄(りっしんべん)〟について記しておきます。 …

〝蝶のやふな私の郷愁 改訂版〟燐光群

ふと、箱入りのティッシュペーパーが普及したのはいつ頃からだったろうか、と気になった。というのも、舞台上の日本家屋風の六畳間、卓袱台、テレビはなくラジオ、近づく台風そしてロウソクというシチュエーションは、どうしてもわたしの記憶の中では昭和3…

〝ビッグ・スウィンドル!〟(2004年・韓国)

観直してみて、二度楽しめる映画というのがある。チェ・ドンフン監督の〝ビッグ・スウィンドル!〟がそれである。ロードショーの時に観て、大胆不敵なサプライズ・エンディングに驚き、DVDで再見し、その巧妙な作りに改めて感心した。 冒頭は、強奪犯たちの…

〝電界〟猫のホテル

猫のホテルを長い間観てきた友人によると、駆け出し時代の常小屋だったこまばアゴラ劇場から、ザ・スズナリに進出した当初は、舞台が広すぎる印象をもったという。そういうことが、久々の本多劇場(2度め?)に登場した今回も言えるような気がする。ちょっ…

〝水〟ひょっとこ乱舞第15回公演

わたしの世代にとって、ボリス・ヴィアンの〝うたかたの日々〟(早川書房刊)は、白水社から出ていた〝日々の泡〟というタイトルで記憶にしみついている。ひょっとこ乱舞の〝水〟は、この青春小説の古典を下敷きにしているという。 それぞれの友人のデートに…

〝無防備なスキン〟tsumazuki no ishi

tsumazuki no ishiを観てみたいと思ったのは、6月にG-up presents で赤堀雅秋演出の〝散歩する侵略者〟に出ていた寺十吾(じつなしさとる)と猫田直の存在感に圧倒されたからだが、この劇団は先ごろ亡くなった松本きょうじが主宰していたランプティパンプテ…

〝山荘の女たち〟競泳水着特別公演

競泳水着を名乗る劇団に関する予備知識はほとんどなく、〝始まりはいつも嘘〟というミステリ劇を、昨年秋に同じ会場で上演したということだけは、インターネット上の情報で知っていた。残念ながら、わたしはそれを観ていないのだが、ミステリ劇を得意とする…

〝Ani-Mates〟SPARKO/05

SPARKOは、若い女性ばかりの演劇ユニット(現在は、小関ゆかり、高園陽子、佐藤陽子の女優陣に、脚本と演出の高羽泰雄)で、過去4回の公演を行っているが、わたしは初見。今回の〝Ani-Mates〟は、万物にはすべからく魂が宿っているという考え方を、世界の中…

〝開放弦〟パルコ+リコモーション プレゼンツ

根が貧乏性のせいか、ややもするとお芝居もコストパフォーマンスを考えてしまう。そんなわけで、この〝開放弦〟も、チケット代8000円というのが、ついつい気になってしまって。 のどかな田舎の庭先に、鴨の死体がころがっている。たまたま通りがかった素…

〝パズラー〟

「ソウ」のイメージそのままのDVDパッケージ。さらには、この邦題。(原題は、〝FATEFUL TREASURE〟)これだけ商魂逞しく迫られて、手を出さないミステリ映画ファンはいないでしょう。監督のミヒャエル・カレンはドイツの人で、そもそもこの作品自体はTVムー…

〝マシニスト〟

「マシニスト」には、やけに印象的なシーンがある。やせ細った主人公が、冷蔵庫の前だったかキッチンでダンスを踊るくだりだ。ほんの一瞬なのだが、激しく痩せた体の不気味さと奇妙な動きが印象的で、なんとも忘れがたい。主演のクリスチャン・ベールの30kg…