(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

〝Ani-Mates〟SPARKO/05

SPARKOは、若い女性ばかりの演劇ユニット(現在は、小関ゆかり、高園陽子、佐藤陽子の女優陣に、脚本と演出の高羽泰雄)で、過去4回の公演を行っているが、わたしは初見。今回の〝Ani-Mates〟は、万物にはすべからく魂が宿っているという考え方を、世界の中心に据えた物語づくりがなされている。
集合住宅の一室に引っ越してきた井草(佐藤)、楡(高園)、萩(小関)の三姉妹。それぞれに性格の違う姉妹の共同生活が始まるが、彼女たちはネットを使って通販の事業を始める。ひとつ、またひとつと、家族の思い出の品物が売れていく。そして、そのすべてを売り切った時…。
家具や身の回りの小物が喋るというアイデアは、シンプルであるがゆえに、リアリティ(演劇的にせよ)を醸しだすのが非常に難しい。この芝居でもやはり、そのあたりのルールを観客に呑みこませる前半は、やや物語の密度を欠き、もっぱら三姉妹のキャラクターだけで話を進めているような印象がある。
しかし、終盤に至り、観客に明かされる仕掛けは悪くない。伏線が弱かったり、冗長な場面が長かったりと少なくないこの芝居のマイナス要素を、クライマックスで帳消しにするような快感がある。ポップでカラフルな衣装や舞台装置も、このユニットのカラーを明確に打ち出していると思った。(1時間40分)


■データ
2006年7月21日マチネ/渋谷Le DECO
7月23日まで