(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

〝パズラー〟

「ソウ」のイメージそのままのDVDパッケージ。さらには、この邦題。(原題は、〝FATEFUL TREASURE〟)これだけ商魂逞しく迫られて、手を出さないミステリ映画ファンはいないでしょう。監督のミヒャエル・カレンはドイツの人で、そもそもこの作品自体はTVムービーとおぼしい。
バカンスを4人の仲間たちと過ごすために、トニ(マリー・ツイールッケ)はアルプスの山中にやってきた。途中、事件があったのか、検問所で警察官から気をつけていくよう注意される。山荘についた5人の男女は、キッチンでとんでもないものを発見してしまう。そこには、3人の見知らぬ男たちの死体が横たわっていたのだ。慌てた彼らは、下山しようとするが、途中で車の事故を起こしてしまい、折からの悪天候もあって、結局山荘に釘付けにされることに。
テレビに流れるニュースから、美術館を襲った強盗犯のグループがアルプスの方面に逃げたらしいことを知り、その犯人たちが仲間割れの末に同士討ちをしたのではないかと推測する。そんな折、死体から時価500万ユーロのロシア皇帝の黄金の首飾りを発見してしまう。欲にかられて、それを頂いてしまおうというトニの弟の提案に、大きく揺れる5人組。翌朝、保険調査員を名乗る男が現れ、事態はさらに混乱するが。
キューブリックの「シャイニング」の冒頭をネガとすれば、それをポジに変えたようなイントロの風光明媚なアルプスの景色が美しく印象的だ。しかし、この映画の長所は、そこでおしまい。あとは、延々とお手軽な2時間の推理ドラマ乗りの物語が繰り広げられる。もちろん、謎もサスペンスも希薄で、あのとんがった傑作「ソウ」には及ぶべくもない。そのタイトルとパッケージ(おまけに大げさな解説文)に見事騙されました。ある意味、あっぱれ。(BOMB)


(ネタばれ)
翌朝、やってきた保険調査員は、強盗団の手先だった。やがて、調査員は、彼らを殺し、秘宝を取り戻そうとするが、隙をつかれて殺されてしまう。ちなみにサプライズ・エンディングは何もありません、念のため