(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

〝忄(りっしんべん)〟親族代表

おぼん休みでしばらく東京を離れていました。悔しいのは、空想組曲空間ゼリーなどを見逃したことでしょうか。半月近くの空白で、すでに記憶が薄れつつあるという情けなさですが、忘れないうちに親族代表の〝忄(りっしんべん)〟について記しておきます。
親族代表は、1999年に結成された嶋村太一竹井亮介野間口徹という男性3人の演劇的なコントユニット。年明けの公演(残念ながら観ていない)に続く本年2度目の舞台で、執筆人も豪華なコント6連発。演目は、以下のとおり。
1.影響と受けた人とその友人とその友人/脚本:小林賢太郎ラーメンズ
2.男心/脚本:本田誠人(ペテカン)
3.情熱の男たち/脚本:嶋村太一(親族代表)
4.泥人間/脚本:千葉雅子猫のホテル)〜「チキンブルース」(歌)
5. 天文クラブ/脚本:福原充則(ピチチ5)
6. 野間口徹と…/脚本:ブルースカイ
コントを評する言葉をもたないわたしだが、このユニットは3人のメンバーたちの個性だけで、客席を沸かせる実力あり、と見受けた。そういう意味で、喫茶店とおぼしき場所で秘密結社ごっこに興じる暇な男たちを描いた1あたりが、真骨頂かもしれない。シンプルな枠組みの中で、役者ひとりひとりの持ち味にその面白みをゆだねる脚本づくりが、見事に成功していると思う。
2〜4も、現実からのずらし加減など、作者の狙いはなるほどと思わせるのだが、達者な3人が熱を入れて演じれば演じるだけ、そのオフビートな設定が浮いて(白けて)しまうのは否めない。この3人が演じるには、いずれも脚本を作り過ぎているように思われる。
ただし、今回の公演全体を演出するピチチ5の福原が描く5は別格で、中学の天文クラブのぱっとしない生徒と先生たちの日常を描いて、シュールでブラックな結末で観客を唖然とさせる。ここまで徹底して不可思議な世界を構築してくれれば、これは天晴れとしかいいようがないだろう。今回の演目の中では、鳥肌たつようなエンディングのこの5が、個人的なベスト。

■データ
2006年8月9日ソワレ/新宿シアタートップス