(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

ゆらゆら帝国 LIVE2005 @CLUB CITTA'川崎

ゆらゆら帝国四人囃子説、というのはあまりに奇抜だろうか?いや、わたしは、そうは思わない。彼らのどこか懐かしく、サイケでファジーな心地よさは、ルーツをつきつめていくと、どうしても6〜70年代のあの熱い日本ロックの時代に行き着く。それも、〝一触即発〟の頃の四人囃子にピンポイントである。最初期の四人囃子は、ピンクフロイドにつながるサイケデリックなテイストと、控えめながら不思議な存在感を主張する森園勝敏のギターとボーカルが売り物だったわけだが、ゆらゆら帝国は当時の彼らのサウンドをストレートに彷彿とさせる。ま、ゆらゆら帝国プログレだなどと主張するつもりは毛頭ないけれども。
さて、最新アルバム〝Sweet spot〟をひっさげてのツアーを敢行中のゆらゆら帝国であるが、わたしは不覚にも5月の渋谷AXを逃している。というわけで、万難を排してのクラブ・チッタ川崎である。スタンディングで満員状態という熱気溢れる会場に入ると、10分遅れくらいで客電が落ち、暗いステージに3人が登場する。
最初に〝どうも〟、最後に〝今日はどうも〟、とたったふたことだけの素っ気無いMCだが、それでいてステージングに物足りなさをまったくおぼえない。3人のテンションはのっけから上がりっぱなしで、途中チューニングのための短いインターバルを除けば、ほとんどぶっ通しの演奏で、まさに会場はゆらゆら帝国漬けの状態である。
バンドは3ピースだが、亀川千代(B.)と柴田一郎(Dr.)の磐石のリズム隊をバックに、坂本慎太郎(Vo.&G.)の歌いまくるギターと、さたに歌いまくるボーカルが、非常に密度の高い演奏を繰り広げる。それだけ濃い演奏を続けられると、逆に観客の緊張感は途切れてしまったりするものだが、そこは絶妙な選曲の良さもあってのことだろう。ステージの上も、観客席も、ライブが後半に突入するにつれて、熱気が高まっていく。
今回のアルバムは、1曲1曲を眺めると、どちらかといえば地味目な印象が強いが、それをメインにしながらも、「冷たいギフト」や「グレープフルーツちょうだい」などの人気曲を要所に挟み、観客をのせていく。会場がもっとも盛り上がったのは、「ラメのパンタロン」で、これは中盤のクライマックスだった。終盤は、坂本のギターのインプロなどもあって、さらに盛り上がった。2時間、古き良き日本ロックの時代へ心地よくタイムスリップさせてもらった。

(セットリスト)
1)頭炭酸 2)急所 3)貫通前 4)タコ物語 5)冷たいギフト 6)侵入 7)男は不安定 8)頭異常なし 9)ラメのパンタロン 10)ゆらゆら帝国で考え中 11)誰だっけ? 12)ロボットでした 13)ソフトに死んでいる 14)いたずら小僧 15)グレープフルーツちょうだい 16)スイートスポット 17)EVIL CAR