(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

ゆらゆら帝国 LIVE2005ファイナル @日比谷野外大音楽堂

先のCLUB CITTA'川崎の入り口で配られたフライヤーに、この日のアナウンスがあった。4月のフリーライブの際には行けず、今回の野音はぜったい、と思っていただけに、チケットがとれてラッキー。降水確率高い天気予報は微妙だったけど、(昼には降ったが)なんとか天候はもった。夏の終わりの暑さはあるが、この時期夕刻ともなると気温もやや下がってくる。おまけに、ときたま吹いてくる風が実に心地よい。これまた、ラッキーだ。
宵闇迫る野外音楽堂は、都会の喧騒も聞こえてこなければ、近所に音が洩れても心配ない(?)。都心にありながら、日比谷公園の緑に囲まれた稀有なロケーションだ。ライブバンドだったら、ぜひ立ってみたいステージではないだろうか。座席も非常にゆったりしているし、観客席のスロープも理想的。客からみても、理想的なライブ会場だ。
開演時間をほんの少し過ぎて、例によって3人がのっそりと登場する。「あ、どうも」という素っ気ないMC(?)に続いて、おもむろに演奏に入るのは、CLUB CITTA'川崎の時とまったく同じ。しかし、曲が進んでいくにつれて感心したのは、前回の時とほとんど曲がかぶっていないことだ。持ち曲の多い彼らならではのフレッシュな選曲で、ステージは進められていく。
中盤あたりから、最新アルバム〝Sweet Spot〟からの曲をやり始めて、テンションは次第に高まっていく。ふと気づくと、すっかりまわりは暗くなっている。そんな中に、あやしく浮かび上がる3人の演奏姿。いつものように、間奏に入るや、痙攣をおこしたかのように怪しい動きで乗りまくる坂本慎太郎のギターが吠える。サイケな轟音を振りまきながら、インプロ風に曲を盛り上げていく、いいなぁ。そして、あっけなく「じゃ、次が最後の曲なんで。今日は、どうも」と、これまた素っ気なくしめくくる。もちろん、アンコールはなし。
翳りと湿り気のあるゆら帝の曲が、野外の解放的な会場に合うかは、正直言って半信半疑だったが、なかなか爽快で気分の良い体験だった。ステージ上のメンバーは、ホールだろうが、野外だろうが、お構えなしかもしれないが、客は明らかにゆったりと寛いでいた。暮れなずむ夏の終わりの夕べに、サイケでラウドでフリーキーな演奏を堪能したライブでありました。

(セットリスト)
1)太陽の白い粉 2)ミーのカー 3)砂のお城 4)傷だらけのギター 5)夜行性の生き物3匹 6)すべるバー 7)誰だっけ? 8)つきぬけた 9)侵入 10)無い!! 11)男は不安定 12)針 13)はて人間は?
14)急所 15)貫通前 16)タコ物語 17)ロボットでした 18)ソフトに死んでいる 19)2005年世界旅行 20)通り過ぎただけの夏