(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

minoke? / Holding Pattern(Tony Spada) :POSEIDON Festival 2005 @四谷Outbreak

新人バンドがこぞって出演するプレデイを含めて6日間のフェスティバルのうち、この日は4日目。わたしは、前日に続いて2回目のアウトブレイクである。この日のお目当ては、アメリカから参加のHolding Patternなのだが、驚いたことに発売日を遥かに過ぎて購入したチケットの予約番号が、なんと5番。当日、開場の時点でも10人と集まっていなかった。さすがに、開演時刻にはそこそこの観客が揃ったが、知名度が低いせいなのだろうか。それにしても、この注目度の低さはあまりに寂しい。

さて一番手のminoke?は、カワグチヤスシ(b), タカハシカツノリ(d), カヤマコウセイ(sax), セキドクニヒコ(p)からなるカルテットで、サックスが前面に出たジャズ系のサウンドである。最近になって、よくバンド名を耳にするようになったが、POSEIDONのVital records からデモ盤をリリースしている。前身は環境音楽を志していたようだが、今はしっかりとしたジャズ・ロックの音で、時に変拍子を刻んだり、シンフォニックに響いたりと、なかなか心地よい音を生み出している。
サックスのカヤマのMCはすっとんきょうだが、演奏に関していえば、それぞれのメンバーの力量はなかなかのものと見受けた。ベースのカワグチは、アウターリミッツでヴァイオリンをひく桜井の弟だとか言ってたが、本当だろうか。途中、彼がベースをスティックに持ち替えてから、楽曲に面白みが増したように思う。ドラムスもタイトだし、キーボードもいい場面で活躍してくれる。当日は2曲入りのサンプラーを配布していたが、ライブでの演奏の方が、温かみ、そしてスリルの面でも一枚上手で、なかなかのライブバンドのようだ。また観てみたいと思う。

大柄な男たち3人のいかにもむさ苦しい雰囲気のHolding Patternは、Tony Spada(g), Robert Hutchinson(d), Tony Castellano(b, key)の3人組で、過去にアルバムが日本にもレギュラー入荷したことがあり、わたしは輸入盤屋で手に入れ、確かに聴いている筈なのだが、実は印象は曖昧。で、どんな音が出るのか、興味を持って開演を待ったが、Tony Spadaのギター弾きまくりの豪快なサウンドで、前日の荘園をふと思い出したりもした。しかし、プログレ系のソロアルバムもあるTony Castellanoのキーボードが入り、曲はジェネシスのテイストがほのかに香る曲で、くどいくらいにシンフォニックな展開のナンバーが前半は続いていく。
中盤からは、Tony Spadaのソロアルバムからの選曲が増えたのか、ジャズロックのテイストが強まり、やや単調な場面もあったが、強引に1時間半程度のステージをこなしてみせた。惜しまれるのは、セッティングに1時間弱もかかり、観客が待ちくたびれてしまったことか。終演を待たずに、どんどん客が帰っていってしまったのは、あんまりだと思った。PAの不調なども重なり、バンドにとっては不運だったと思う。ややハードさがくどい印象は残ったが、豪快なシンフォ、ジャズロックを楽しめた一夜でありました。