(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

演劇

サスペンデッズ「夜と森のミュンヒハウゼン」のレビューを「wonderland」に寄稿しました

10月7日に発行されたメルマガ「小劇場レビューマガジン ワンダーランド」の160号に掲載されました。メルマガ以外では、間もなく「小劇場のいまにふれる劇評サイト〜wonderland」で読めるようになります。タイトルは「鬱蒼とした森の物語 現実との交錯、衝…

「Musical ジェーン・エア」松竹

公演期間中に、モントリオール映画祭で主演作の「ヴィヨンの妻」(根岸吉太郎監督)を受賞したというニュースも飛び込んできた(監督賞だが)松たか子がヒロインを演じる松竹製作のミュージカル。 両親を突然の病気で亡くしたジェーン・エア(松たか子)は寄…

「互角」げんこつ団

わが道を往く女子たちの和製モンティ・パイソン、げんこつ団。いや、ルーツこそパイソンズなのだろうけど、すでにげんこつ団以外の何者でもない個性もしっかりと築いている彼女たちによるほぼ一年ぶりの公演。 国に住み国の保護を受け国のために働いては、国…

「悪趣味」柿喰う客第15回公演

柿喰う客が結成5周年というのに、ややびっくり。いや、てっきりもっと年数を重ねているものと思いこんでました。 北東北の山深き寒村、霧田村。人を食い殺す"化け狐"伝説が残るこの村で、身元不明の惨殺死体が見つかった時、村人たちの運命の歯車は、少しず…

「グロテスク」国分寺大人倶楽部 第五回公演

主宰の河西裕介がポツドールへの客演でおなじみなことから、三浦大輔のエピゴーネンと思われることもあるようだが、なかなかどうして、彼らならではの独自性も感じられて。まだまだ手探りの段階だと思うが、これからが楽しみな国分寺大人倶楽部の1年ぶりの…

「トラベリング・オン・ザ・シャーレ」カムヰヤッセン第4回公演

今年上期のちょっとした衝撃だった「レドモン」@王子小劇場のカムヰヤッセン。主宰の北川大輔は、東京大学の劇団綺畸にいた人のようで、2008年に独立して学内で旗揚げ。今回のGreen55学生芸術祭vol.3への参加も、東大代表という位置づけのようだ。 近未来の…

「暗ポップ」空間ゼリーvol.11

「I do I want」@サンモールスタジオから、ほぼ1年というインターバルを経ての新作「暗(くら)ポップ」。その間に、メンバーから岡田あがさの名が消えて。 ある病院におけるグループセラピーの一週間コース。心療内科の新しい試みだが、セラピーの目的は…

「サマーゴーサマー」あひるなんちゃら

駄弁芝居というキャッチフレーズも定着して久しいあひるなんちゃら。駄弁とはいうけど、なかなかどうして、彼らお得意のちょっとファニーな世界は、大いに心を癒してくれるわけで。そんなあひるなんちゃらの夏をテーマにした新作。 繁盛しているようには見え…

「狭き門より入れ」PARCO presents

この公演を企画するteam申(チームさる)は佐々木蔵之介の演劇ユニットだが、前川知大とのコンビは二年前の2回目だった「抜け穴の会議室」に引き続いて二度目のこと。(ちなみに、旗揚げの「ときには父のない子のように」は、蓬莱竜太の作・演出だった) (…

「マリー・ド・ブランヴィリエ侯爵夫人」DULL-COLORED POP 第8回公演

これまで観たのは3公演で、それぞれまったく方向性は異なるのに、DULL-COLORED POP独自のカラーのようなものが、例外なく打ち出されていたのには感心させられた。さて今回は、近世フランスを舞台に実在したというシリアルキラー(殺人狂)の物語とのことで。…

「ハッシャ・バイ」虚構の劇団第三回公演

この日、座・高円寺1の観客の平均年齢は、おそらくわたしの歳を上回っていたのではないかと思われる。還暦前後と思しき善男善女に囲まれての小劇場芝居の観劇。なんとも稀有な体験というほかない。 ある日、一人の探偵事務所を訪ねた依頼人は「いつも同じ夢…

「サスラウビート」カナデコトビート第3回公演

カナデコトビートは、青年団演出部の相馬加奈子が主宰する演劇ユニット。彼女が早稲田大学演劇倶楽部時代の2008年結成で、どらま館での2回の公演を経て、あっという間の王子小劇場進出。 日本の西の方の島。比較的、美人、島美人のサルビアとユーカリ姉妹は…

「五人の執事」パラドックス定数第19項

独特のストイシズムと社会派の心意気で、わが道を往く感のある野木萌葱とパラドックス定数。今回のテーマは、手強い星のホール@三鷹芸術文化センターの空間だったと思う。 五人の執事が暮らす屋敷。執事たちには、それぞれに屋敷や主人とかかわってきた歴史…

「すこし離れて、そこに居て」散歩道楽2009夏

スケジュールの都合があって前作(「レモン・スター」)はスキップしてしまったので、久々の散歩道楽。(2007年の「西国分寺物語」以来か)中規模劇場シアター・サンモールへの進出作で、第三舞台の大高洋夫を客演に迎えての新作公演。 東京近郊の小さな町。…

「来来来来来」劇団、本谷有希子 第14回公演

パルコ劇場のプロデュース公演だった「幸せ最高ありがとうマジで!」で、めでたく岸田賞を受賞。劇団としては2007年の「偏路」以来となる本谷有希子の新作。 (以下、ネタバレを含みます。未見の方はご注意を!) 山間の小さな集落。蓉子は、この町の麩焼き場…

「怪談牡丹灯篭」シス・カンパニー

怪談としておなじみの牡丹灯篭の物語が、そもそもは中国のもの(明の時代)であることをおさらいしたのは、つい先日の「奇ッ怪」@シアタートラムでのこと。日本でのポピュラリティは、明治に入って三遊亭朝圓の人情噺「怪談牡丹灯籠」と、三世河竹新七によ…

「アタシだけ超怒られた」バナナ学園純情乙女組 6時間目〜ダブリました公演〜

これまでの初日に(そして楽日になっても)脚本があがっていない(!)というはんちくな舞台でも、実はそれなりに楽しめてました、わたしの場合。その理由は何なのかと考えるに、物語にも、役者にも、相当にプリミティヴな演劇衝動(?)のようなものが満ち…

「肩の上で踊るロマンシングガール」佐藤の、第一回公演

ただいま売り出し中(?)の佐藤みゆきのソロ・ユニット。(同胞の川連太陽がスタッフとして参加しているようだが)といっても一人芝居ではなく、ひょっとこ乱舞の大輪、根岸絵美を招いての第一回公演。 僕と加南子は付き合ってから3年で、なんとなくそのま…

「常に最高の状態」劇団、江本純子vol.2

毛皮族とその周辺の活動では、作・演出ともに卵の殻を引き摺っている感のあった江本純子だけど、今回の3か月連続上演の目的は、そこからのステップアップではないかと勝手に思っているわたし。酸いも甘いも知り尽くした町田マリーとの「まじめな話」がホッ…

「アルバトロス」ホチキスvol.23

気がつくと2時間超。確か、前にも同じ思いを抱いた記憶が。ホチキス、饒舌だよなぁ。 リストラで会社をクビになった事を家族に言えないまま、毎日妻から弁当を受け取って出社するふりをする中年のサラリーマン(加藤敦)。一方、ローカルテレビのドッキリ番…

「血縁〜飛んで火に入る五兄弟〜」モダンスイマーズ10周年記念

今まさに劇作家としての活躍めざましい蓬莱竜太が率いるモダンスイマーズ。十周年記念モダン祭、時空を超え、噴火するんだ五兄弟、と銘打っての節目の記念公演。 内容的には、エチュードというか、5人の劇団員がアイデアを持ち寄ったそうで、芝居を観にいっ…

「明けない夜」JACROW#12

前作は時代劇だったが、前々作のミステリ劇の路線に立ち返ったJACROWの新作。 舞台は1963年、裕福な家庭の一室。平和な日常を壊す一本の電話から始まる。誘拐事件の果てに浮かび上がるねじれた人間ドラマ。(サイトからあらすじを引用) エド・マクベインの…

「旅がはてしない」ひょっとこ乱舞第21回公演

前回の「プラスチックレモン」@吉祥寺シアターの無限に膨らんでいくイマジネーションの世界に、いたく感動したひょっとこ乱舞。個人的には、去年観た芝居の中のベストのひとつかも。さて、それに続く「旅がはてしない」は、4年前に王子小劇場で上演した作品…

「cover」ペンギンプルペイルパイルズ #14

意外にも、初本多劇場とのこと。しかしさらに意外なことに、初日ソワレは空席が目立って。 姉は三十年前に姿を消した。二人の弟はすでに諦めていた。ある日孤独な漁師がタコを釣る。タコの背に手紙が張り付いていた。姉が子供の頃に風船で飛ばした手紙。弟達…

「キドクラッチ」ドリルチョコレート

ドリルチョコレートは、MCRを主宰するドリルこと櫻井智也がプロデュースするユニット。約1年ぶりとなる「キドクラッチ」だけれど、このタイトルって、かつて新日本プロレスの人気を支えたひとり木戸修のスペシャルホールドだよね。 客が来なくて、傾きかけた…

「ケモノミチ」ブルドッキングヘッドロック vol.17

最初が三鷹芸術文化センターで観た「不確かな怪物」だから、長い付き合いというわけじゃない。しかし、舞台上がやや混沌としていた二年前と較べると、格段の進歩があるように思えるブルドッキングヘッドロックの新作。 「アイツ」は突然現れて、僕らの住んで…

「向日葵と夕凪」七里ガ浜オールスターズ 第四回公演

前回の駅前劇場から間もなく3年、久々の七里ガ浜。今はなき劇団の埋もれかけたレパートリーの埃を掃って俎上に乗せて、という公演。 振り返る もうないけど 向日葵と夕凪と 笑ってる君がいた。高校の美術教師が息を引き取った。その小さな出来事は街の住人…

「スメル」キリンバズウカ Tokyo 2nd Shot

前作「飛ぶ痛み」の前日譚にあたる本作。「永住禁止条例」が施行された近未来の東京。働かざるもの住むべからずで、定職もなく、納税もしない若者は、帰郷を余儀なくされる。しかし、その条例にはちょっとした抜け道もあって、ゴミ屋敷の清掃ボランティアに…

「奇ッ怪〜小泉八雲から聞いた話」

「抜け穴の会議室」が取り結んだ前川・仲村コンビ再び。世界に誇る(?)小泉八雲の「怪談」という古い酒を、イキウメの前川知大という新しい器に入れる試み。 (以下、ネタバレを含みます。未見の方はご注意を!) 古びた旅館に二人の男がやってくる。二人は…

「セインツ・オブ・練馬」ロハ下ル presents 01

その作風や方向性にひと区切りをつけたのか、それとも発展的解消だったのか。とまれ、スロウライダーをリセットした山中隆次郎が、數間優一、芦原健介をはじめ、町田水城(はえぎわ)、夏目慎也(東京デスロック)、金子岳憲(ハイバイ)らとともにスタート…