「グロテスク」国分寺大人倶楽部 第五回公演

主宰の河西裕介がポツドールへの客演でおなじみなことから、三浦大輔のエピゴーネンと思われることもあるようだが、なかなかどうして、彼らならではの独自性も感じられて。まだまだ手探りの段階だと思うが、これからが楽しみな国分寺大人倶楽部の１年ぶりの新作。

―――「いいですかぁ、先生はぁ、君達のことがぁ、大嫌いです。」
個人経営の学習塾。「お父ちゃん」と呼ばれ、皆に慕われる塾長。いっしょに暮らす「ユキちゃん」は、頭の病気で言葉が不自由。毎年恒例の夏合宿のその日。「ユキちゃん」が、「お父ちゃん」を殺した・・・。（公式サイトより）

うーん、しかし、今回はやや露悪趣味に走りすぎたか。客演を含めてお馴染みの顔ぶれが、国分寺独特の世界をつくりあげていて、それなりに見応えはあるのだけれど。
冒頭のシーンを障子でマスキングをして、殺人のフーダニットで観客をひっぱる工夫などもあるが、浮かび上がるのは人間の二面性というありがちなテーマだし、そこに到達することで良しとしてしまっている物足りなさがある。仮面をはがすだけではなく、国分寺大人倶楽部には人の心の内側にもう少し切り込む、さらに一歩先の鋭さを望みたいところだ。（110分）

■データ
短編『ドーハの秀樹』付きだったソワレ／王子小劇場
9･2〜9･6
作・演出／河西裕介
出演／上田勝也、江ばら大介(elePHANTMoon)、笠井里美(ひょっとこ乱舞)、後藤剛範(害獣芝居)、佐々木潤、森準人、和田菜美子、桑原一樹、大竹沙絵子、林弥生、加藤岳史(ジャズ)、望月綾乃