(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

「マリー・ド・ブランヴィリエ侯爵夫人」DULL-COLORED POP 第8回公演

これまで観たのは3公演で、それぞれまったく方向性は異なるのに、DULL-COLORED POP独自のカラーのようなものが、例外なく打ち出されていたのには感心させられた。さて今回は、近世フランスを舞台に実在したというシリアルキラー(殺人狂)の物語とのことで。

17世紀フランス。美貌、家柄、財産、すべてに恵まれ、何一つ不自由とするところのなかった一人の女が、何十人という罪のない人々を虐殺した。マリー、彼女には、世間的な意味での「良心」はひとかけらもなかった。マリー、彼女には、宗教も法律も、他人の命でさえも、絨毯に落ちたチリほどの価値も感じられなかった。マリー、彼女には、生まれつき何かが欠けていた。だがマリー、彼女は、僕が知り得る限り、世界史上もっとも美しく魅惑的な女性である。(公式サイトより引用)

え、これってシェイクスピアのパロディ?ついついそんな思いを抱いてしまうほど、含蓄のある台詞が、次々と役者たちの口をついて出てくる。ハードボイルド・ミステリの旨みが主人公のワイズクラック(減らず口)にあるように、気の利いた台詞は、やはり芝居(戯曲)の大きな醍醐味だなぁ、と再認識。しかし、これだけの含みのある台詞の数々を、よくもまぁ散りばめたものだ。
芸達者を揃えた贅沢なキャスティングだが、その中では清水那保が頑張って、ヒロインに相応しい華やかさを出している。一方、重厚な役柄ではあるが、活躍の場面が少ない中田顕史郎は、せっかくの起用なのに、ちょっともったいない気がした。(10分の休憩を含めて130分)

■データ
やはりモリエールは客席にはスロープがほしいと思った最終日マチネ/新宿シアターモリエール
8・14〜8・17
作・演出/谷賢一
出演/清水那保、堀奈津美、大塚秀記、尾粼宇内、久保亜津子(向陽舎)、酒巻誉洋(elePHANTMoon)、七味まゆ味(柿喰う客)、高橋浩利(オムニバス)、田村元、塚越健一、中田顕史郎、原田紀行(reset-N)、日澤雄介(劇団チョコレートケーキ)、三嶋義信、宮嶋美子、百花亜希