(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

「アタシだけ超怒られた」バナナ学園純情乙女組 6時間目〜ダブリました公演〜

これまでの初日に(そして楽日になっても)脚本があがっていない(!)というはんちくな舞台でも、実はそれなりに楽しめてました、わたしの場合。その理由は何なのかと考えるに、物語にも、役者にも、相当にプリミティヴな演劇衝動(?)のようなものが満ちていたからではないかと。しかし一周年とあっては、そうそう半端なことも言ってられないであろう、バナナ学園の開校一周年公演。

集団暴力の果てに同級生カオリを惨殺してしまった女子中学生4人組は持ち前のラッキーで警察の捜査を免れてしまった。警察は猟奇殺人事件として、犯人の行方を全力で追っている。らしい。良心の呵責にふいに襲われた4人は、テストも終わったことだし、集団自殺をはかることにした。自殺=一世一代の大仕事とあって、順番・手順についてもめ始める4人。しかし、そこに、別の殺人事件の情報が入る。被害者の殺され方が、どうやら、カオリのものと酷似しているらしい。「これは同一犯だ!」と確信しやがった警察の皆様。「猟奇殺人事件」か「連続猟奇殺人事件」に名を変えたワケだが。
さて、アタシたち、一体どうしたらいいのだろうか。(サイトより引用)

プリミティブを褒め言葉に使ったけど、すなわち荒削りという意味もあるわけで、それが観客を選別するであろうことは想像に難くない。事実、役者のレベルにかなりの格差があるけど、これだけの数の出演者が入り乱れるとあらば、それもやむをえないかも、と思う。そんな許容を甘いと見る向きもあるだろうが、今しか出来ないことを全力でやっているという充実感は、少なくとも確実に伝わってくる。知らず知らずのうちに湧いてくる共感は、その産物だと思う。
そのバラついたところもある中で、話を束ねて、進めていく女子中学生四人組を演じる役者たちが頼もしい。それ以外にも、ぽつりぽつりと際立って物語の牽引力がある役者がいるものの、あまり馴染みがないので名前を挙げられないのが、なんとももどかしい。
ともあれ、過呼吸気味の公演ペースを鈍らせずに、とりあえずは行けるところまで行ってほしい彼らである。(90分)

■データ
客入れのDJから本編への繋ぎはまだまだ未熟なソワレ/王子小劇場
7・30〜8・3
作/中屋敷法仁 演出/二階堂瞳子
出演/加藤真砂美、菊池佳南、野田裕貴、前園あかり、浅川千絵(ありふれたトコトコンニョ)、大川大輔(活劇☆ちゃーと5)、大久保嘉洋(オー!ジーニアス)、大森美里(劇団大森美里)、小田崎諒平梶井咲希(破廉恥ッ子倶楽部NO.002)、金澤舞、小林由紀、紺野タイキ(帝京大学ヴィクセンズシアター)、高村枝里(破廉恥ッ子倶楽部NO.003)、田中正伸、中井康世(SupremeSunders)、ばんない美貴子(The Gunzys)、藤原弘樹、村松健(劇団掘出者)、山口航太、鈴木康太(類プロダクション)、二階堂瞳子