(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

「互角」げんこつ団

わが道を往く女子たちの和製モンティ・パイソン、げんこつ団。いや、ルーツこそパイソンズなのだろうけど、すでにげんこつ団以外の何者でもない個性もしっかりと築いている彼女たちによるほぼ一年ぶりの公演。

国に住み国の保護を受け国のために働いては、国に許可貰い国に不許可貰い国にへつらい国に唾吐く。嗚呼クニとはいったい何ぞや、という問いかけも声にならぬ内に繰り広がるは、我らの住まうこの国の「公共」ばかりの登場する喜劇。主義主張、入り込む余地なし。主義主張、木っ端微塵。政治理念政治思想所属党派等関係なく、ご覧下さい「公共」喜劇。我々は日本国民として公共を題材に真摯に馬鹿馬鹿しい喜劇を作り、皆様は日本国民としてそれを鑑賞する。日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげて、この崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。(公式サイトより引用)

小劇場系のコントや短篇のオムニバスは、実は苦手なのだけれど、あひるなんちゃらとこのげんこつ団だけはその稀有な例外。体が笑いを求めるのだろう、いつも吸い寄せられるように、ついふらふらと公演に足を運んでしまう。
コロコロと朝令暮改を繰り返す迷惑な省庁とそれに翻弄される市民、変な警察、音楽の才能はあるのにオフィスではちっとも使えないサラリーマンなどなど、時事ネタやナンセンスネタが今回もてんこもり。一発の破壊力で笑いを取るタイプではなく、じわじわとコントを積み上げ、それが互いにシンクロしたり、連鎖反応を起こす後半に、見どころ、笑いどころが多い。以前に較べてややダンスが減ったような気もするが、相変わらず映像の使い方もうまい。(120分)

■データ
互角というテーマの選び方がいかにも彼女たちらしいソワレ/下北沢駅前劇場
9・9〜9・13
作・演出・映像・音響/吉田衣里 演出・振付/植木早苗
出演/植木早苗、春原久子、大庭智子、大場靖子、河野美菜、池田玲子(10・Quatre)、高園陽子(SPARKO)、津波恵、高橋美津子、川端さくら(乙女装置)、戸塚なをみ、吉田衣里