「悪趣味」柿喰う客第15回公演
柿喰う客が結成5周年というのに、ややびっくり。いや、てっきりもっと年数を重ねているものと思いこんでました。
北東北の山深き寒村、霧田村。人を食い殺す"化け狐"伝説が残るこの村で、身元不明の惨殺死体が見つかった時、村人たちの運命の歯車は、少しずつ狂い始める。飛び散る鮮血! こだまする悲鳴! 終わらない恐怖!そして、予想不可能な衝撃のクライマックス…って、何だよコレ!いろんなスリルがてんこ盛り過ぎて、もうマジでわけわかんねー(素直)!!夢と希望と皮肉と悪ノリが支配する、柿喰う客の結成5周年記念公演!超B級アダルト×オカルト×サスペンス! ここに解禁!!(サイトより引用)
キャリアを読み違えていたのは、もちろん彼ら独特の柿喰う客スタイルの見事なまでの完成具合ゆえだ。マシンガントークとスピードに乗った機敏な動きは、夢の遊眠社というルーツが推測されるものの、今の関東の演劇シーンではほとんど唯一無二のものを確立しているといっていいんじゃないか。
でも、そのスタイルが明確に特徴的であるがゆえに、慣れる(悪く言えば飽きる)のも早いわけで、今回の公演はそろそろその段階に差し掛かっているような気がする。いや、あれだけの群像劇をぶちあげる力技は素晴らしいと思うし、スペクタクルとテンポの良さは依然楽しめるのだけれど、どうにもその先の進む道が見えてこない。目前に隘路が迫ってきているような気すらしてしまう。
そういう意味で、アフタートークで中屋敷法仁が、次回作ではがらりと変るという予告は、変化のタイミングについて時宜を見誤っていない頼もしさを感じた。変っていく彼らをぜひ見守りたいところだが、うーん、三重県はちょっと遠すぎるかも。(105分)
■データ
横溝正史風に作りこんだ舞台装置にも感心させられたマチネ/三軒茶屋シアタートラム
9・4〜8・13
作・演出/中屋敷法仁
出演/七味まゆ味、コロ、玉置玲央、深谷由梨香、村上誠基、本郷剛史、高木エルム、梨澤慧以子、國重直也、片桐はづき、須貝英(箱庭円舞曲)、齋藤陽介(ひょっとこ乱舞)、野元準也(ビビプロ)、高見靖二(チャリT企画)、佐野功、浅見臣樹、永島敬三、佐賀モトキ、伊藤淳二、出来本泰史、川口聡、瀬尾卓也、柳沢尚美、熊谷有芳、渡邊安理(演劇集団キャラメルボックス)、中屋敷法仁