演劇
二番目の庭は、2000年7月結成。活動拠点は北九州の劇団で、今回が東京への初進出だとか。 山のように積まれた衣料品の中から、出演者が衣類を選んで着替えるオープニング。スペースを切り分けるかのように、お米で床に線が引かれていく。さて、何が始まるの…
初演は3年前のアゴラ劇場。そのときの装置を舞台の広さに合わせてそのまま拡大したようなセットが舞台上に並んでいる再演。 女優陣など役者の入れ替えは一部あったが、ほとんど初演どおりの再演。と思いきや、これってもしかして、脚本の細部に手が入ってい…
2006年に旗揚げ、役者の森谷ふみ、光瀬指絵と脚本・演出の福原充則によるユニットの新作。福原・ピチチ5のファンだし、ずっと気になってはいたけれども、これまで縁なく今回が初見です。 初日に観るつもりが楽日になってしまうことの多いわたし。これも、初…
オーストラ・マコンドーの立ち位置は、一般演劇と小劇場の中間点かな。サイトを見ると、岡田あがさが現在所属している劇団のようだ。 3rdとあるが、過去公演を見ると0.5回刻みなので、通算5作目と思しき今回は、映画にもなった湊かなえの『告白』を連想させ…
時代の空気に敏感であるがゆえに、鴻上尚史の芝居は時の流れとともに風化していくのではないかと正直思っていた。しかしそれが間違いだったことを悟ったのが、少し前に虚構の劇団による『ハッシャバイ』を観たときだ。若い役者が演じる準古典を眺めながら、…
ストーカーの妄想は別として、作家の目に自分たちがどう映っているかなんて考える読者はいないだろう。しかし本作を観ると、なるほど彼らの側から見たわれわれ読者は、得体の知れない怪物のようなものかもしれないなぁ、と思えてくる。 新刊のサイン会を兼ね…
アナザーフェイスとは、キャラメルボックスが他の劇団とジョイントで公演を行う他流試合のようなもの。なんと14年ぶりだという今回は、89年に初演、その後91年を皮切りに何度か再演されている人気のレパートリーを俎上にあげて。 水泳嫌いがエスカレー…
青☆組は、2002年から公演を行っている、桐朋学園大学演劇科の卒業生を母体に結成されたユニットだ。中心は、劇作家・演出家・俳優の吉田小夏。2006年以来の青年団リンクから独立して初めての公演となる。 昭和の横浜を舞台に、小さな食堂を営む父と…
上半期、面白い!と思った芝居です。順位はありません、観た順番です。せめて一行づつでもブログにメモを残したいところですが。(遠い目) (1月) 大きな豚はあとから来る(渡辺源四郎商店工藤支店)@こまばアゴラ劇場 テスタロッサ(ドリルチョコレート…
タイトルは、『センス・オブ・ワンダーの彼方に見えるものの正体』です。8月3日に発行された週刊メルマガ「小劇場レビューマガジン ワンダーランド」の252号に一部掲載され、現在は「小劇場のいまにふれる劇評サイト〜wonderland」で読めます。 》》》…
ブログの更新は著しく滞ってますが、お芝居はなんとか観続けています。さすがに、少し本数は減りました。(約120本)ウェブマガの〈ワンダーランド〉から依頼のあった年間回顧アンケートに答えた内容の元になっているのが、下の作品リストで、つまりは、…
今年もまた演劇メルマガの「週刊ワンダーランド」2010年12月29号に、「振り返る私の2010」年末回顧今年の3本を寄稿しました。寄稿者も多く、読み応えありますので、興味あれば覗いてみてください。 》》》こちらで読めます なお、年が明けましたら、個人的に…
小劇場演劇、ダンス、パフォーマンスのレビューマガジン「ワンダーランド(wonderland)」の初日レビュー2010第3回に参加させていただきました。演目は、今月14日より下北沢「劇」小劇場で上演中のハイリンド×サスペンデッズ「グロリア」です。 わたしは★5…
ほぼ5年ぶりの再演。パルコ劇場での初演を観ているが、であればこそ演出、出演は同じ顔ぶれでも、再演とあれば足を運びたくなるのが人情というもの。わざわざN.Vと謳うのであれば尚更のことだ。初演は、文句なしにウェルメイドなひとり芝居だった。 イン…
青年団演出部に所属する宮森さつきと多田淳之介のユニットが青年団リンク・二騎の会。これまでふたりで作・演出をやってきたというフォーマットを崩し、すでにこのユニットでは出演者としてお馴染みの木崎友紀子(青年団)を演出に招いての新作。 一人と一体…
ダルカラ(DULL-COLORED POP)の冬眠はともかく、青年団演出部所属の報にびっくりさせられた谷賢一。自由度の高い活動が期待される2010年の第一弾は、役者たちが自分でやりたい役のディテールをリクエストし、作家(=谷賢一)がそれに沿って脚本を書き上げ…
平田オリザのカガク(科学)を主題にした連作は、1990年の青年団第17回公演『科学する精神』、1992年の第24回公演『北限の猿』、1997年の第33回公演『バルカン動物園』の三部作があって、さらに2008年のリーディング特別企画の『森の奥へ』と連なっていく。…
科学といえば、平田オリザが大阪大学でロボット演劇プロジェクトに取り組んでいることを、今回の公演情報で初めて知りました。その動画を見たのだけど、ユニークかつ愉快な試みと感心。それはさておき。 「カガクするココロ」の10年後、同じ生物学研究室。遺…
当初は「ストロベリー」と予告されていたが、予定演目を変更しての新作公演。さては、来る佐藤佐吉演劇祭のレースを睨んでの差し替えかな、などとちょっと勘ぐりつつ。 「僕たちのガールフレンドを紹介します。」 僕たちは男3人で暮らしています。豚小屋の…
旧パノラミン遊園。ピンズ・ログを名乗ってから5回目となる公演。わたしは、第3回の「原形質・印象」からのおつき合いだが、以来見逃せない演劇ユニットのひとつとしてマークしている。素敵なちらしのアートワークに目を奪われのも毎回のことだ。 今回は、と…
わたし個人の年末進行のスケジュールと公演のタイムテーブルが合わずに、結局年明けに送ってしまったクロムモリブデン。でも、彼らの華やかで賑々しい舞台は、どこか新年向きだよなぁ、と改めて思うクロムの新作。 全然思い出せない同級生と遭い、懐かしくも…
あけましておめでとうございます。今年も牛歩の足取りになること必至ですが、a piece of cake!をよろしくお願いいたします。 さて、アンケート回答ではありますが、演劇メルマガの「週刊ワンダーランド」2009年12月24号に、「振り返る私の2009」年末回顧今年…
はてさて、大晦日。レビューは順延中ですが、とりあえず下半期の面白かった作品を挙げさせてください。上半期は13作でしたが、7月以降はちょっと増えて20作。お芝居好きとしては、2009年も悪い年じゃなかったってことでしょうか。ちなみに順位はありません、…
日芸在学時代の2004年に、『ドドミノ』で第2回仙台劇のまち戯曲賞大賞を受賞した柴幸男。わたしは、去年のtoi presents 4th「四色の色鉛筆があれば」@シアタートラムの『反復かつ連続』を観て、その素晴らしさに仰天しました。『わが星』は、青年団リンクと…
新感線としての新作は『五右衛門ロック』以来1年ぶり。デュマの『モンテ・クリスト伯』を翻案したかのような復讐の物語で、中島かずきの新作。また2000年の「阿修羅城の瞳」を皮切りに続いている「INOUEKABUKI SHOCHIKU−MIX」の第…
サブタイトルにあるとおり、カフカの小説3篇をモチーフにした新作。ケラとしては、2001年にオリガト・プラスティコのために書いた「カフカズ・ディック」に続くカフカを素材にしてのチャレンジになるわけで。 意外性に富んだ筋運びに夢中になるうち、いつの…
「はちみつ」といえば、スィートなスピッツの名曲を思い出してしまうわたし。(ちょっと古過ぎ?)でも、ダークな作風が持ち味のこゆび侍の新作の味は、やはりかなり苦目で。 負け犬同士の傷の舐めあい。破滅の瞬間が訪れたとき、僕たちはくちびるを重ねた。…
鈴木蘭々をフィーチャーした松尾スズキの新作。溌剌としたヒロインが活躍する下町人情喜劇をブラックなテイストで。 サッちゃん(鈴木蘭々)は、下町の定食屋を切り盛りしている看板娘。そろそろ30に手が届こうとしているが、今日も元気いっぱい。そんなサッ…
寺山修司のこの戯曲については、もちろん知っていたけれども、32年前のPARCO劇場が初演だったとは知らず、びっくり。パルコ初演出だという白井晃が、この作品をなぜ?というちょっと素朴な疑問もかかえて劇場へ。 舞台は上海。この街を支配する中国の不思議…
座付き作家/演出家が、それぞれの代表作を交換して、上演し合う東西の交流(?)企画。なんと4年がかりのプロジェクトとのこと。 酒屋でアルバイトを見つけた主人公。注意をたれる先輩の話に、青木さん家の奥さんという人物がやたら出てくる。どうやら、お…