(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

「明けない夜」JACROW#12

前作は時代劇だったが、前々作のミステリ劇の路線に立ち返ったJACROWの新作。

舞台は1963年、裕福な家庭の一室。平和な日常を壊す一本の電話から始まる。誘拐事件の果てに浮かび上がるねじれた人間ドラマ。(サイトからあらすじを引用)

エド・マクベインの「キングの身代金」に触発され、黒澤明が撮った「天国と地獄」の公開が1963年。したがって、設定を同じ年とし、やはり社会派を標榜した本作が黒澤映画へのオマージュを捧げていることは間違いのないところだろう。
前々作の「斑点シャドー」もそうだったが、JACROWのツイストが入った推理ドラマは、実に見応えがある。客演に個性派を揃えたのも勝因で、登場人物同士のぶつかり合いが火花を散らし、全編をおおうサスペンスも切れ目がない。JACROW(すなわち中村暢明)には、ぜひこの路線をつきつめてもらいたいものだ。(90分)

■データ
外伝という試みもユニークな土曜のマチネ/新宿御苑サンモールスタジオ
7・17〜7・26
作・演出/中村暢明
出演/狩野和馬(InnocentSphere)、仗桐安(RONNIE ROCKET)、今里真、祥野獣一(獣劇隊)、立浪伸一(はらぺこペンギン)、橋本恵一郎、田中まこと、前田彩子、堀奈津美(DULL-COLORED POP)、岡本篤(劇団チョコレートケーキ)、ヤナカケイスケ、蒻崎今日子