(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

「向日葵と夕凪」七里ガ浜オールスターズ 第四回公演

前回の駅前劇場から間もなく3年、久々の七里ガ浜。今はなき劇団の埋もれかけたレパートリーの埃を掃って俎上に乗せて、という公演。

振り返る もうないけど 向日葵と夕凪と 笑ってる君がいた。高校の美術教師が息を引き取った。その小さな出来事は街の住人や教え子や同僚の教師の心に大きな影響を与えた。それぞれが幸せに過ごしている今、叶えられなかった昔の出来事のいくつかを思い出していた。(サイトよりあらすじを引用)

海沿いの小さな田舎町にあるちょっとうらぶれた酒場を舞台にした一幕ものの小品。脚本は、四人の登場人物たちの埋もれた過去を掘り起こしていく人間ドラマで、都合のいい甘さもあるが、終盤に濃密な展開が待ちかまえる。誰の胸にもあるに違いない過去への郷愁をかきたてる作品だ。
早い話が、それを演じる役者次第という芝居なのだが、今回の四人の顔ぶれは悪くないと思う。ただ、その達者さで、物語の構造(二組のカップルのエピソードという)が途中で透けて見えてしまう皮肉もある。
四人の中では、ひとりの女の成熟とともに青々しさを引き摺る姿を演じた山崎ルキノが、わたしには際立って素晴らしく映った。劇的に表情をかえるラストシーンは、大いに心うたれました。(60分)

■データ
ワンドリンクのサービスでビールの銘柄まで選べたのが嬉しいマチネ/渋谷Gallery LE DECO4F
7・7〜7・12
作/日々野克己 演出/瀧川英次
出演/山本佳希、松本美香、山崎ルキノ(チェルフィッチュ)、瀧川英次