(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

「蛮幽鬼」劇団☆新感線 二○○九秋興行

新感線としての新作は『五右衛門ロック』以来1年ぶり。デュマの『モンテ・クリスト伯』を翻案したかのような復讐の物語で、中島かずきの新作。また2000年の「阿修羅城の瞳」を皮切りに続いている「INOUEKABUKI SHOCHIKU−MIX」の第6弾にもあたる。

遠い昔。
各地の豪族支配から、ようやく一つの政権が出来上がりつつある島国・鳳来の国にまつわる物語。
鳳来の国の若者四人は、国をまとめる精神的支柱として果拿(かだ)の国の国教“蛮教”を学ぶために留学している。その中の一人、京兼調部が暗殺され、同行の伊達土門(上川隆也)が無実の罪により監獄島に幽閉される。土門は、濡れ衣を着せた稀浮名、音津空麿への復讐を誓う―
10年の歳月が流れ、脱出を試みようと牢獄の壁を掘り進めていた土門は、両手足を鎖に繋がれた男(堺雅人)がいる牢へたどり着く。土門に助けられた男はサジと名乗り、復讐に協力することを誓ってともに脱獄する。
鳳来の国の都。蛮教を持ち帰った浮名と空麿は、教義を自分たちに都合よく作り変え、彼らの父親たちと共に権勢をふるっている。
一方、都のはずれでは、飛頭蛮が唱える“蛮心教”へ人々の支持が集まりつつあった。蛮教に疑問を抱く大王の妃、美古都(稲森いずみ)は、彼女を護衛する刀衣(早乙女太一)を伴い飛頭蛮のもとを訪れる。この飛頭蛮こそかつて美古都と将来を誓い合った土門であった。
そして、宮中では、蛮教と蛮心教の教義をめぐって、飛頭蛮と空麿は教義問答をすることとなる…。(公式サイトより一部修正して引用)

ドラマチックな展開や仕掛け十分のスペクタクルにふんだんの殺陣や笑いをちりばめた、いかにも新感線らしい舞台だ。例によって見応えは十分だが、やや既視感をおぼえるのも事実。コストパフォーマンス(わたしが観た席は1等席12600円)を考えると、これからも新感線を見続けるべきかどうか、正直ちょっと迷うところ。
名作「SHIROH」以来の上川隆也も話題のようだが、やはりなんといってもシャープな動きを見せる早乙女太一堺雅人が新鮮にうつる。稲森いずみのヒロイン役が、ここぞというところで見せる存在感も抜群。客演も含めてお馴染み面々は手堅く、無難だが、劇団としてややコンサバな現在の路線を進めていくなら、彼らのような新しい血がこれからの新感線には不可欠に思える。(休憩25分を含む210分)

■データ
生憎の雨に降られた火曜日のソワレ/新橋演舞場
9・30〜10・27
作/中島かずき 演出/いのうえひでのり
主な出演/上川隆也稲森いずみ早乙女太一橋本じゅん、高田聖子、粟根まこと山内圭哉、山本亨、千葉哲也、堺雅人