(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

「青木さん家の奥さん」青年団+南河内万歳一座共同企画 青年団プロジェクト公演

座付き作家/演出家が、それぞれの代表作を交換して、上演し合う東西の交流(?)企画。なんと4年がかりのプロジェクトとのこと。
酒屋でアルバイトを見つけた主人公。注意をたれる先輩の話に、青木さん家の奥さんという人物がやたら出てくる。どうやら、お得意さんで、すこぶる美人らしい。誰が配達に行くかのローテーションまで決まっているというのだからすごい。
奇矯で癖のある先輩たちと酒屋の娘に戸惑いながらも、彼らの特訓を受ける主人公の中で、青木さんの奥さんへの期待が膨らんでいく。そこに、青木さんの奥さんの偽者が双子で登場。主人公の混乱の度合いは、ますます深まっていく。
未見の南河内万歳一座の舞台のイメージが頭の中で勝手に膨らんでいく舞台だった。いや、それは妄想に過ぎないのかもしれないが、不条理を含むシチュエーションの中で、ときに舞台狭しと大胆な体のぶつかり合いもある、というスタイルではないかと。
もしもそれが当たらずとも遠からずだとすると、それぞれのカラーになってしまっている動と静のイメージを交換するのかどうかが興味の焦点になるが、平田オリザの演出は、ひとつひとつのシーンをしっかりと見せていく工夫以外は、さほどの冒険はないように思えた。いや、そもそもこの戯曲を青年団の役者で舞台に乗せること自体が、大きな冒険だったのかもしれないが。
アル中でツンデレの娘を演じる木引優子の存在感が、ここでも強烈。(80分)

■データ
ビールケースを積み上げた舞台装置が壮観だったマチネ/こまばアゴラ劇場
9・11〜9・27
作/内藤裕敬 演出/平田オリザ
出演/申瑞季、田原礼子、村井まどか、山本雅幸、海津忠、木引優子、桜町元、畑中友仁