(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

「その鉄塔に男たちはいるという」*pnish*プロデュースvol.4

〈*pnish*〉と書いてパニッシュと読むそう。2001年にユニットをスタートさせ、青山劇場をめざして公演を重ねてきている…、ってのはHPに紹介されているこのユニット紹介の概略だが、そんな説明は不要かもしれない。すごい人気のようですね、世代を越えた女子のファンに。何も知らないで会場に着いたら、いやぁ、ファンの熱気にあてられ、おぢさんはちょっと居心地悪かったです。
ジャングルの中に建てられた巨大な鉄塔。そこには、四人の男たちが寝起きをしている。彼らは、外地へ出兵している兵隊たちを慰問するためにやってきた芸人たちだった。しかし、わざとらしい戦意高揚に嫌気がさした彼らは、訪問先の部隊を抜け出し、終戦と同時に帰国しようという魂胆で、鉄塔の仮設小屋に隠れている。サバイバル生活のさ中、唯一やれるネタの練習に、四人は余念がない。
やがて、ひとりの脱走兵(小須田康人)が仲間に加わる。なんでも、部隊では彼らの居場所はバレバレだとのこと。芸人と兵隊という境遇の違いから、最初は居候として遠慮していた兵士も、時間の経過とともに馴染み、彼らのネタの練習に加わるようになる。そんなある日、ついに終戦の日がやってくるが、彼らを待ち受けていた運命は。
脚本は2000年の岸田戯曲賞にもノミネートされたもので、そもそもはMONOのレパートリー。お目当ては、つまりこの作品が土田英生の代表作のひとつというところにあったわけだが、うーん、正直これはちょっとどうか、という出来映え。いや、*pnish*からの二人、そして客演陣も実に達者で、四人の芸人と兵士をめぐる物語は、淀むところがなく、サクサクとテンポよく進んでいくのだけれど。ちょっとした仲間割れや、次第に心を通わせていく芸人と兵士など、ひとつひとつの場面にも、そつがない。
しかし、幕切れに至って、肝心な何かを見逃してしまったかのような、不完全燃焼な印象が残るのは、途中ですっかり何かが抜け落ちてしまっているのではないか、という気がする。例えば、登場人物の人間臭さとか、物語の背景にある筈の戦争という事態とか。何かを背負ったように登場する小須田康人が、他の役者の軽妙さや、スマートさとは対極の芝居をすることで、軌道修正を試みているように思えるが、いかんせん孤軍奮闘に終わっている。
MONOによる再演を観る機会が巡ってくればそれに越したことはないが、リリースされているアーカイブのDVDでも手に入れて、ぜひ見比べてみたいと思う。(110分)※5月1日まで。

■データ
円形劇場内に聳え立つ鉄塔は圧巻だった初日ソワレ/青山円形劇場
4・24〜5・1
脚本/土田英生(MONO) 演出/茅野イサム
出演/土屋裕一、鷲尾昇、上原健太(扉座)、黒川薫(グリング)、小須田康人