(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

OPUS AVANTRA@CLUB CITTA’川崎

オパス・アヴァントラは、セミラミスやビリエットなど名盤を世に送ったイタリアの幻のレーベル、トリデントの中でとりわけ神格化されていたアルバム「内省」が、なんといっても有名。かつては、再発はありえない、とまで言われ、ファンを嘆かせたこのアルバムが今はCDで聴けるのも、プログレファンにとっては奇跡みたいなものだが、来日公演まで果たしてしまうとは…。いやぁ、人生は何が起きるか、判ったもんじゃない。
とはいえ、一抹の不安も。というのは、「内省」を聴いても判るように、オパス・アヴァントラの音楽は、プログレというよりは前衛に近く、現代音楽やクラシックの要素を含むアカデミックな内容という印象が強いからだ。果たしてライブが面白いものかどうかの危惧は、しかし演奏が始まると、たちまちのうちに霧散。高い音楽性を前面に打ち出しながらも、ディープな歌心とテクニックを、ロックのリズムに乗せて演奏、想像を上回るレベルでプログレッシブ・ロック(そして、イタリアン・ロック)の演奏を披露してくれた。
超絶の技をなんなく繰り出すティゾッコの鍵盤、齢を重ね、ますます艶を増したのではと思えるデル・モナコの歌声も、期待通りだったが、美女揃いの弦楽のカルテットがステージ上を妖しく舞う演出も、見ごたえがあった。演奏曲は、「内省」の全曲再現と、その他オパス・アヴァントラ関連のアルバムからピックアップしたもので、実に満足のいく2時間。アンコールに応えての二度目の「孔雀」で、コンサートは幕となった。
(メンバー)
ドネッラ・デル・モナコ(vo)
アルフレード・ティゾッコ(p,key)
ジョルジオ・ビソット(actor)
ヴァレリオ・ガラ(ds,perc
THE OPUS STRINGS ENSEMBLE(VIOLIN,VIOLA,CELLO,DOUBLEBASS)

内省(紙ジャケット仕様)

内省(紙ジャケット仕様)