(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

「苦悩のピラミッダー」ヨーロッパ企画第22回公演(砂組)

初めて観た「ブルーバーズ・ブリーダーズ」が、信じられないくらいわたしにはダメだったヨーロッパ企画。ふむふむと思ったのは、今回の開演前、前面スクリーンに流れた前回作のDVD発売告知用映像にあった、「ドタバタ・シーンだけで作られた問題作」というキャプションだ。なるほど、チャレンジ精神のあらわれだったかと少し納得がいったけど、でもやはり、劇団の自信が裏目に出たような失敗作だったよなぁ、前作。
さて、2000年以来の再演となる今回の「苦悩のピラミッダー」は、紀元前2200年のエジプトの物語。国王の命により、ピラミッド建設に着手せざるを得なくなった宰相をはじめとする側近のスタッフたち。あーだ、こーだと議論を重ね、ともに苦難を乗り越えて出来上がった実物は、なぜか右寄りに歪んだ姿に。
これはいいですね。歴史物めかしているが、アイデアはほとんどないもの同じ。しかしながら、6人のピラミッド建造スタッフたちのコメディタッチのやりとりが生きて、楽しいドラマに仕上がっている。とんちんかんなやりとりだけで2時間弱をもたせるあたり、会話劇の面白さが功を奏しており、このあたりがヨーロッパ企画の持ち味だろうと思わせる。役者陣も充実しており、宰相役の永野宗典を中心に、いいチームワークを見せている。
ただ最後のシーンは、捻りが足りない感じだ。時空を越えるシーンを締めにもってくるアイデアは悪くないと思うが、であるならもう一工夫なり、オチなりを加えてもらいたいところ。(115分)※14日まで。

■データ
マチネ/下北沢駅前劇場
5・3〜5・14(東京公演)※大阪公演は終了
作・演出/上田誠
出演/石田剛太、酒井善史、角田貴志、永野宗典、西村直子、松田暢子・中西武教(ジュース)