(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

橋本 紡/空色ヒッチハイカー(短評)

ダークでネガティヴな青春小説という趣もあった岡崎隼人の作品とは対照的な場所に位置する本作。作者の橋本紡ラノベ方面からの越境者(第四回電撃ゲーム小説大賞を受賞し、その受賞作でデビュー)だけれど、この巧さは只者ではないと見た。
素敵な女の子、ブラザーコンプレックス、そして大好きな車。?空色ヒッチハイカー?は、その三つを明るく、ポジティヴな空気で包みこんだ極上の青春小説なのだが、兄の残したキャデラックでひたすら西を目指すロード小説の先の読めない面白さ、ボーイ・ミーツ・ガールのほろ苦くも、心地よく甘いテイスト、さらにはちょっとしたサプライズエンディングまで用意されていて、極上の読み心地を味わうことができる。モチーフに使われている映画の?ファンタンゴ?も、絶妙のテイストだ。
近刊の?月光スイッチ?も早いとこチェックしなくては。

空色ヒッチハイカー

空色ヒッチハイカー