(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

「WOMAN」LEMON LIVE vol.2

LEMON LIVEは、POOL-5(フランケンズの中野成樹が所属)の斎藤栄作が企画、脚本、演出を手掛け、小劇場系の劇団で活躍する俳優たちを招いて公演を行うというシステムで活動すプロデュースユニット。男性中心主義がこのユニットの特徴で、昨年6月にその第一弾として『純粋人〜Juliet〜』を上演。確かそれなりの評判をとった、という記憶があって、今回足を運ぶ気になった。
どういうわけか、いきつけのオカマバーでバイトをしなければならなくなった常連客たち。彼らは、レコード会社が社員を選抜してスタートさせることになった新レーベルのスタッフたちで、新しい仕事の皮切りとして、韓流スターを招いて、ライブを行おうと企画している。ところが、手違いがあったのか、マスコミ対応などをミスり、明日のライブの開催が危ぶまれる状況に。一方、スタッフは、韓流スターを空港に出迎えるためサクラとして、自分たちの母親を温泉旅館に呼び寄せていた。しかし、個性豊かな母親たちが一堂に会すると、宿はてんやわんやの大騒ぎ。若女将は、彼女たちに振り回されっぱなし。折からの雪が降り積もり、明日の朝、最寄り駅までの交通手段がなくなったことを知らされた母親たちは、パニックの状態に陥って。
紅一点の岡田も含めて、全員が男女二役を演じるという趣向で縛りをかけながらも、ウェルメイドを通したいい芝居だ。交互に演じられるレーベルスタッフたちの人間関係やチームワークと、母親たちの暴走ぶりも、それぞれに物語の輪郭がしっかりしているし、一体感を最後まできちんとキープする。クライマックスの持って来方も堂にいっており、最後は心地よい着地を見せる。作・演出の力量がうかがわれる仕上がりだ。
嬉々として女性役を演じている役者たちも溌剌としていて、キャラクターの演じわけもしっかりしている。大きな冒険はなかったが、これだけしっかりとした作・演出と役者たちの仕事ぶりを見せられれば文句はない。次もまた観てみたいユニットだ。(120分)

■データ
ソワレ/下北沢駅前劇場
5・26〜6・3
作・演出/斎藤栄
出演/岡田さつき(演劇集団キャラメルボックス)、津村知与支(モダンスイマーズ)、有川マコト(絶対王様)、犬飼淳治(扉座)、濱田龍司(ペテカン)、阿部丈二(演劇集団キャラメルボックス)、浅野雅博(文学座
照明/高橋英哉 音響/小笠原康雅(OFFICE my on) 衣裳/神場やす江 舞台監督/筒井昭善 写真・宣伝美術/垣内敏秀(コマンドエヌ) 宣伝ヘアメイク/武井優子 演出助手/山神友恵 制作/橋本香苗(コマンドエヌ)、こばちえ(コマンドエヌ)