(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

〝屋上のオフィス〟あひるなんちゃら

前回の公演で、わたしはほぼ一目惚れだったあひるなんちゃら。売り物のギャグは脱力系だが、取り組みは意欲的だ。ゴールデンウィークのさ中の公演が入場無料っていうのが、なんとも泣かせるではないか。
ビルの屋上にオフィスを構える某会社。たった二人の社員(黒岩三佳、関村俊介)は、姿を見たことない社長と手紙のやりとりを通じて、仕事をしている。隣のビルの窓に裸のおやじが見えたり、雨が降ったら休みになったりと、やはり普通の会社とはちょっと違う。そこに、誤配された郵便物を届けにきた下のフロアーの社員(根津茂尚)が、やけにこの会社を気に入ってしまったことから、厄介なことに。
ナンセンスなコントを数珠繋ぎにして、ドラマ(っていうほど大袈裟なものではないが、物語の流れはある)をつくるスタイルは、前回の〝UFO㎝〟とまったく一緒。黒岩の傍若無人ですっとんきょうな態度に関村がつっこみ、そこにどこかとんちんかんな根津が絡むというワン・パターンだが、このとぼけた味わいがなんとも捨てがたい。素人臭さとアナーキーの折衷ともいうべき彼ら独特のやりとりには、今回もやはり力なく笑ってしまうほかなかったのだった。(55分)

■データ
マチネ/王子小劇場
5・4〜5・6
脚本・演出/関村俊介
出演/黒岩三佳、根津茂尚、関村俊介