デイヴィッド・ミッチェル/ナンバー9ドリーム(短評)
3度落選でも、ノミネートされたのがブッカー賞だったら、それだけで立派かも、デイヴィッド・ミッチェル。〈新潮クレスト・ブックス〉からの刊行なので、文学系なのだけれど、これはエンタテインメント系の読者にも十分アピールするとみた。高橋源一郎も、絶賛してるし。
屋久島から出てきた田舎青年が、新宿で父親探しをするという物語なのだけれど、東京という街の描き方が半端じゃないくらいにリアル。いくら、広島に在住歴があっても、ここまで外国作家に書かれると、唖然ですなぁ。
読みどころは、SF、戦記、社会派、クライムストーリーと、章ごとに小説のスタイルを変えていく変幻自在ぶりで、それがすべて堂に入ってて、読みごたえ十分。最後にはぐらかされるのはちょっとナンだけれど、ここまで物語展開部の密度が高ければ許す。必読。
- 作者: デイヴィッド・ミッチェル,高吉一郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2007/02/24
- メディア: 単行本
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