(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

デイヴィッド・ミッチェル/ナンバー9ドリーム(短評)

3度落選でも、ノミネートされたのがブッカー賞だったら、それだけで立派かも、デイヴィッド・ミッチェル。〈新潮クレスト・ブックス〉からの刊行なので、文学系なのだけれど、これはエンタテインメント系の読者にも十分アピールするとみた。高橋源一郎も、絶賛してるし。
屋久島から出てきた田舎青年が、新宿で父親探しをするという物語なのだけれど、東京という街の描き方が半端じゃないくらいにリアル。いくら、広島に在住歴があっても、ここまで外国作家に書かれると、唖然ですなぁ。
読みどころは、SF、戦記、社会派、クライムストーリーと、章ごとに小説のスタイルを変えていく変幻自在ぶりで、それがすべて堂に入ってて、読みごたえ十分。最後にはぐらかされるのはちょっとナンだけれど、ここまで物語展開部の密度が高ければ許す。必読。

ナンバー9ドリーム (新潮クレスト・ブックス)

ナンバー9ドリーム (新潮クレスト・ブックス)