(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

モダンスイマーズ「どん底スナイパー」

劇場の座席につくまで、いつもの通り蓬莱竜太作だと思っていた不覚。今回は、役者の古山憲太郎の作・演出デビュー作品との由。しかし、座席は満席。
小学生たちの「木の鳥」捕獲作戦と、刑務所におけるタイムマシーンの製造。ファンタスティックな物語を交錯させようという狙いはいい。ただ、全体に物語の流れが平板で、ふと何かが腑に落ちたり、心を動かされる場面がほとんどない。物語ることに汲々としている感は否めないところだ。
個性のある役者たちも、ひとりひとりの芝居は悪くない。しかし一体感のようなものを出すに至っておらず、上滑りしているような印象があるのはもったいない。習作としては悪くないが、時間を措いてもう少し熟成したところを見てみたいとも思った。
しかし、ロビーでは原画展もやっていて、古山憲太郎って多彩な人なんですね。ご本人のホスピタリティも心のこもったものが感じられました。まだまだ発展途上だけど、座付きの蓬莱と将来の二輪をめざしてほしいもの。

■データ
9・12〜9・25 @小竹向原SAI STUDIO コモネ Aスタジオ
作・演出/古山憲太郎
出演/津村知与支、小椋毅、西條義将、斎藤ナツ子、蒲田哲、宮崎敏行、三田村周三