(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

オーストラ・マコンドー 3rdオーストラ「チャイムが鳴り終わるとき」

オーストラ・マコンドーの立ち位置は、一般演劇と小劇場の中間点かな。サイトを見ると、岡田あがさが現在所属している劇団のようだ。
3rdとあるが、過去公演を見ると0.5回刻みなので、通算5作目と思しき今回は、映画にもなった湊かなえの『告白』を連想させる内容。学校時代のクラスメート全員が登場人物という点で、パラドックス定数の名作『元気で行こう絶望するな、では失敬。』を思わせたりもする。卒業から13年目に開かれた小学校のクラス会で、現在と過去のエピソードを行き来しながら、クラス全体で犯したという過去の罪が明らかにされていく。
交互に描かれる二つの時系列から、クラスメートたちのプロフィルが丁寧に素描されていく。しっかりと突きつけられるテーマはやや重たいが、軽やかなフットワークで描かれる小学生時代のエピソードが観る者の共感をくすぐり、深刻な方向へ過度に流されないところがいい。テーマへの求心力もしっかりとあって、見終えたあとの充実感もある。
ただ、時系列を切り替えるタイミングで、登場人物たちが机を床に叩きつける演出は、大きな音が耳障りだった。舞台の両側に配された机が天へと向かう(または宙に浮かぶ)イメージの舞台装置も、机が上からぶら下がっているようにしか見えず、せっかくのアイデアを活かしきれていないのが惜しい。
生演奏のMOGMOSの劇伴がいい味を出していました。(140分)
■データ
吉祥寺シアター
8・10〜8・14
作/荒井真紀 演出/倉本朋幸
音楽/碇英記 主題歌/MOGMOS
出演/郭智博水崎綾女藤本七海、梅舟惟永(ろりえ)、神戸アキコ(ぬいぐるみハンター)、白井珠希、後藤剛範(国分寺大人倶楽部)、松永大輔、鹿野浩明、武本健嗣、大石憲、伊佐美由紀、根本沙織、大森茉利子、小林そら、斉藤央(劇団海賊ハイジャック)、照井健仁(劇団ヨロタミ)、植浦菜保子、カトウシンスケ、兼多利明、MOGMOS、中村麻美