(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

フロントウーマンゆうの持ち歌ショーケース『てんのみかく』

GO!GO!7188におけるリーダーシップについては、浜田亜紀子の『キラリ』のところで勝手な憶測を書いたけれど、ライブを観たことのない音楽ファンは、単純に彼らの曲をほとんど一人で書き、リードボーカルとギターを担当するゆうこと中島優美こそが、バンドを仕切っていると思うに違いない。実は、わたしも最初はそう思っていた。いや、ファンとして対岸から彼らを眺めているだけで、想像していただけなのだけれど。
というわけで、『キラリ』に続いてゆうのリーダーアルバム『てんのみかく』を聴いてみることにした。このアルバムは、『キラリ』より少し遅れて、2004年2月に東芝EMI からリリースされている。GO!GO!のファンの中には、『竜舌蘭』よりもこちらが好きだという人がいることからも判るように、内容的にはGO!GO!の世界に直結した音づくりと言っていいだろう。初のソロ・アルバムということもあって、曲調こそバラエティに富んだ仕上がりにはなっているが、それぞれの曲のコアにあるものは、お馴染みのGO!GO!7188アイデンティティーそのものと言っていい。
そういう意味では、浜田の『キラリ』ほど驚きがない分だけ物足りなくも映るが、ひとつひとつの曲の仕上がりは丁寧だ。何よりも、椎名林檎直系ともいうべきボーカリストの資質に合わせた曲作りが成功しているし(林檎嬢よりはやや幼さが目立つが、それはそれで個性として成立している)、ひとつのソングブックというか、持ち歌のショーケースとしてのクオリティーは決して悪くはない。
ギター、ボーカル、作曲と、GO!GO!のきわめて重要な側面を支えるアーティストとしての貫禄も十分。その華奢で、儚さを漂わせた姿とは、また別の存在感を主張したアルバムになっている。この『てんのみかく』を通過してこそ『竜舌蘭』がある、という経過も十分に伺える。GO!GO!ファンには、やはり見逃せないアルバムだろう。THE BOOM山川浩正LITTLE CREATURES鈴木正人LOVE JETSらが参加。初回盤のみスペシャル映像収録のDVDが付いている。
(1)蓮 (2)終末 (3)黒蜜 (4)蜜月 (5)戦場のチェリー (6)胡麻摺り (7)甘い水 (8)葉月 (9)天邪鬼 (10)小豆

てんのみかく(初回)(DVD付)

てんのみかく(初回)(DVD付)