(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

リーダーシップの証、浜田亜紀子の『キラリ』

ネオGSな人々の口にのぼるフェイバリット・アーティスト名を頼りに、昨年になってようやくGO!GO!7188に辿り着いた身としては、『竜舌蘭』のリリース、初の武道館コンサートと、テンションの高いまま俄かファンの日々を送ってきたが、今年になってSHIBUYA-AXの〝ごんぶと〟ツアーのファイナルでは、ようやくと彼らを少し冷静に見ることが出来るようになったような気がする。ストイックなのか、シャイなのか、ほとんどMCもないままステージで疾走するのはメンバー3人に共通するスタンスのようだが、その中でさりげなくリーダーシップをとっているベースの浜田亜紀子が、とりわけ気になりはじめたのである。
その彼女が、2003年10月にインディーズの BM tunes レーベルからリリースしたソロ・アルバムが『キラリ』である。バンドでは作詞担当と言ってもいい彼女は、その達者で闊達な言語感覚でGO!GO!の豪快さとナイーブさが交錯するその世界の構築に大きく貢献しているが、この『キラリ』では、ほとんどの曲で作曲も担当しているというから驚きだ。しかし、その作曲能力はなかなかのもので、GO!GO!のナンバーとは曲調が違うが、いずれの曲もクオリティーは非常に高い。〝しずく〟や〝22〟のような印象的な旋律が耳に残る曲も多い。
一方、ボーカルについていえば、すでにGO!GO!でゆうと肩を並べていい声を聴かせていることは、彼らのファンならご存知のとおり。その歌いっぷりたるや、堂々たるもので、ボーカリストとしての天分が十分に開花し、メリハリもあって、曲によっては情感も漂っている。一方、若干23歳という浜田を支えるミュージシャンたちも豪華だ。HEATWAVEから山口洋と渡辺圭一、元ルースターズ池畑潤二ソウル・フラワー・ユニオンの奥野真哉、キーボードの細海歩と、これ以上はないという顔ぶれが揃っている。
本来のバンドの余技として趣味的な仕上がりではなく、ソロ・ミュージシャンとしてのアイデンティティを示す充実ぶりが、なんとも素晴らしい。『キラリ』は、そのしなやかでセンシティブな魅力で、バンドとしてのGO!GO!のキーマンたる浜田亜紀子の存在感を声高らかに宣言したアルバムだと断言する。

(曲目)
1.しずく 2.忘却の海 3.22 4.無様 5.鉄格子の空 6.かわいい独房 7.覚醒 8.さいはて 9.オシャレ地獄 10.バクテリア 11.未知 12.しずく(手のひらremix) 13.22 (ウタタネver)

キラリ

キラリ