(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

AZOTH 〜PROGRESSIVE LIVE 2005〜@吉祥寺SILVER ELEPHANT

プログレ・ファンを長く続けているせいで、プログレ史の生き証人のような気分になることがある。というのも、去年の秋、アゾートがデビューから24年目にファーストアルバム〝THE AWKWARD AGE'S END〟をリリースした際、レコ発ライブをやったのだけれど、その時にバンド側と面白いやりとりがあった。インターネット経由でチケットを申し込んだ時に、東京での初ライブが懐かしい、とメールで添え書きをしたところ、そんなファンがいらしたのですね、という驚きの返信をわざわざ貰ったのだ。思えば、アゾートの東京初ライブは、1986年10月のことでありました。
アルバムリリースもそうだが、ライブ活動もまさに牛歩のようにスローなバンドなのだが、アゾートは今や日本のプログレ・シーンでは、そのキャリアと存在感で、独自の地位を築いている。その彼らが、昨年の10月に続いて、珍しく短いインターバルでシルバーエレファントに出演するというので、まずはとるものもとりあえず駆けつけることに。(駆けつけたというのは文字どおりのことで、当日の出演3バンドのうち、対バンの猛音とTIANANOGUEはパスしました。すみません)アゾートの出番は2バンド目で、ほぼ1時間弱の演奏の中、5曲を披露。去年出たばかりのファーストアルバムからの曲を、4人は次々に演奏していく。
アゾートの魅力は、インスト部分を非常にテクニカルに構築しながら、ボーカルのパートには歌心があるところだろう。その両者の絶妙なブレンドとバランスは、個々のプレイヤーたちの余裕と貫禄の上に築かれており、たおやかな大木睦人のボーカルに、それぞれの充実を感じさせるそれぞれのソロパートが絡みながら、円熟の演奏は繰り広げられていく。適度に緊張感が漂う中、MCで会場内をリラックスさせながらのステージングも堂々たるもので、観客の目と耳をステージに釘付けにする。
この日のハイライトは、最後に演奏した〝THE LAST NIGHT OF SUMMER〟で、CDではストリングスが入っていたものをステージでも再現しようという試みから、2名のバイオリニストをゲストに向かて演奏された。(ちなみに、バイオリン奏者は、美ノ辺純子さんのお弟子さんとのこと)他の楽器との音量のバランスがいまひとつの感もあったが、これはこれで楽しい趣向だった。

さて、次にいつ彼らの演奏を東京で見られるかは、ファンとしては大いに気がかりなところだが、是非お願いしたいのは、もう少し長い演奏時間を確保してもらいたい、ということだ。楽しいMCもたっぷりと聴きたいし、何より彼らのレパートリーをもっと時間をかけて聴いてみたい。願わくは、ワンマンでのライブが望ましい。アンコールがないなんて、あまりに切ないじゃないか。彼らのキャリアと実力は、それを望んでもまったく不足はないと思うのだが。

(セットリスト)
1)WHITE GRAVESTONES COAST 2)DOMINO 3)TURQUOISE SKY 4)MAYOIZUKI 5)Z 6)THE LAST NIGHT OF SUMMER