(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

ARSNOVAアルバム発売記念ライブ@沼袋SANCTUARY

アルスノヴァに関しては、頭の中にかなり古い記憶がある。まだ駆け出しだった頃、目黒のライブステーションへの出演予定が、当日になってキャンセルになったことがあった。なぜその日を記憶しているのかといえば、対バンが名古屋のルーシェルで、ノヴェラ・フォロワーの彼らの演奏が非常に素晴らしかったこともあるけれど、お詫びに舞台上に出てきたアルスノヴァメンバーのふたりの言い様がちょっとふるっていたからだ。曰く、「メンバーのひとりが拾い食いして、お腹をこわしました。ごめんなさい」。
CDデビューはまだまだ先の80年代初頭。今は脱退してしまった金沢京子(B)が中心で、ELPのカバーなどを盛んにやっていた頃のことである。
さて、その後のめまぐるしいメンバーの変遷と世界的な成功は、プログレファンなら既にご存知の通りだが、わたしがアルスノヴァを観るのは本当に久し振り。前回がいつだったか、思い出せないくらいだ。前作「Force for the Fourth -Chrysalis-」以来ほぼ4年ぶりとなるニューアルバム「Seventh Hell」をひっさげてのレコ発ライブである。
前作との大きな違いは、ギターの半田が正式メンバーに加わったことのようで、ニュー・アルバムは彼のほかに、ハンガリーのメタルバンドAGE OF NEMESISのZoltan Fabianがゲストで参加、今回のライブでも半田とのツインギターを披露した。トータルの演奏時間は、メンバーだけの第一部が60分程度、Zoltanが加わっての第二部が40分と気持ち短めで、もうちょっと聴きたかったと思う。
熊谷のキーボードは、いっぱいいいっぱいの余裕のなさが伝わってきて、客席はドキドキさせられるものの、やはり独特のいいセンスをしている。全体としては、ギターが加わり、サウンドがより鋭角化している。それは悪くないのだが、でもツインギターはちょっとやり過ぎのようにも思える。今回のライブに関していえば、あの轟音ではアンサンブルどころじゃないし、肝心のキーボードの音が埋没してしまっていた。
しかし、お客さんがやけに少なかったのもショック。プログレ・ファンとしちゃ、もう少し、頑張っている国内のバンドをサポートしてあげたいところ。それと、アルスノヴァの演奏だけでなく、ヌメロウエノさんの元気な姿を見れるのは本当に嬉しいのだけど、彼の同窓会のようになってしまう進行は、ちょっと考えた方がいいように思う。