「七人は僕の恋人」ウーマンリブvol.11
一般の知名度が上がるのと反比例するかのように、その存在感が薄れていくように思えてならない、というのはファンの言い草かも。でも、ここのところ大人計画の「ドブの輝き」(松尾すずきのピンチヒッター)や、PAECO劇場の「49日後…」(演出も)では、何か吹っ切れたように思える芝居ぶりを見せてくれている池田成志。「七人は僕の恋人」は、そんな成志を大々的にフィーチャーしたウーマンリブの新作だ。
全体は8本からなるオムニバス、というよりはコント集のようなもの。それぞれが有名な映画にインスパイアされているが、原典との関係は希薄だし、横の繋がりもほとんどない。(実は、ちょっとだけあるが)全体としてはちょっと散漫な印象もあるけど、振り返ると結構笑わされている。中心にいるのは、ゲスト扱いなのか、池田成志その人で、今回はかなり美味しい役どころだったと思しい。
以下、その原典とコントの骨子。(タイトルのあとの括弧は監督名)
- 「生きる」(黒澤明)童貞少年の体内に生まれた精子たちが、外の世界へ飛び出すまでの青春の日々
- 「バトルロワイヤル」(深作欣二)田舎の高校にやってきた新任教師(久藤官九郎)が着任早々に変質者の濡れ衣を着せられて
- 「遊星からの物体X」(ジョー・カーペンター)オリンピック種目のビーチバレーで、強力な中国ペアと対戦する日本ペアの運命は
- 「夢」(黒澤明)新作パチンコ〈CR伊勢志麻〉の主役モデル撮影風景
- 「サウンド・オブ・ミュージック」歌舞伎町にある保育園の不幸な保母(猫背つばき)さんとマセた子どもたち
- 「ブラックレイン」(リドリー・スコット)国際的な映画スター桜庭(荒川良々)のCM撮影
- 「友達のうちはどこ?」(アッバス・キアロスタミ)日雇い労働者の父親(峯村リエ)のことを書いた作文を友達と取り違えた女の子(平岩紙)
- 「ゾンビ」(ジョージ・A・ロメロ)最後のファンの集いで大暴れする元アイドル(今老人)のズッキー(池田成志)
個人的には、最後の池田成志扮するズッキーの暴走が、否応なく印象に残りました。(130分)
■データ
ロビーでのCDの販売価格を間違ったらしいソワレ/下北沢本多劇場
11・8〜12・7(東京公演)
作・演出/宮藤官九郎
出演/伊勢志摩、宍戸美和公、猫背椿、田村たがめ、荒川良々、平岩紙、少路勇介、星野源、宮藤官九郎、峯村リエ(NYLON100℃)、遠山景織子、池田成志