(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

「アジミちゃん」味わい堂々お味見公演 その一

チャーミングな女子3人組だからといって、眼鏡を曇らせてはいけない(自戒。でも可愛い)味わい堂々。3人ともにそれぞれいい味があって、芸が達者。それに加えて、前回公演の「春を待つ」が、なかなか見事な作りでした。(和田アキ子の歌が流れるアニメのタイトルバックも素晴らしかった)次の本公演は来春のようだが、そのインターバルに企画もの公演を、普段よりもさらに小さな会場で。
コントorショートストーリーのオムニバス5本立て。前回公演は作・演出に岸野聡子とクレジットがあったが、今回はきっかりとした作りではなく、エチュードのような形で相談しながら作ったのだと思う。緩いが、登場人物間の距離がいい感じの近さで演じられている。狭い会場にも、あっていたように思えた。
彼女たちらしさ(と勝手におじさんが思っている)のは、最初の保母さんたちの会話劇で、あれよあれよという話のころがり方に、やがてどきっとさせられる展開。次が遠足をめぐる小学生たちの会議の話が愉快。いずれも、ナチュラルかつビビッドな役作りで、短編としてもキリッとした仕上がりになっていた。ただ、アジミちゃんというテーマで一本筋を通したかったのだと思うが、それに引き摺られた作品もあったのは惜しいところ。こだわりなく、思うがままの作品を並べた方が良かったと思う。
とはいえ、前向き、元気、芝居心と三拍子揃った彼女たちを観るのは、本当に楽しい。歌あり、踊りあり、ピアノありのサービス精神(というか、彼女たち自身が本当に楽しそうだった)も嬉しい。彼女たちの外部出演でもチェックしながら、次回公演の春を待つことにする。(90分)

■データ
帰り道に寄ったさつま揚げ居酒屋(?)も満足だった楽日ソワレ/駒込ギャラリーLa Grotte
8・29〜9・3
出演/宮本奈津美、岸野聡子、浅野千鶴