(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

「はなとゆめとお菓子」はなとゆめ第2回公演

ライバルは「野鳩」と「むっちりみえっぱり」か。「ロリータ男爵」で独特の存在感がある津久井亜以率いるプロデュースユニットの「はなとゆめ」。脱力系演劇の極北をアピールした第1回公演から約9ヶ月ぶりの第二弾。
作業のBGMに有線のユーロビーロが流れるお菓子工場。ところが、この音楽のせいで、生産の能率はあがらない。意地悪な上司に、勇気をふりしぼり抗議する従業員。しかし、あっさりと一蹴されてしまう。
そんなある日、ちょっとした火傷を大きな事故と勘違いして、警報器が工場になり響くトラブルが発生。その遅れを取り戻すために、派遣会社から3人の女性たちが助っ人として工場にやってくるが。
変ないい方だが、第二回とあってへなちょこぶりがずいぶんと板に付いてきた感じ。登場人物たちは一様に脱力キャラだが、ひとりひとりの個性はしっかりと立っている。助っ人の3人は実はAV女優で、派遣社員に成りすまして、工場でAVを制作しようと企んでいる。3人組からまっさきにこまされてしまう意地悪な上司(おまんさたばさ)が、妙な変わりようをみせて、笑わせる。
AVという題材からしてそのものズバリだが、フィギュアを使ってHな撮影の場面があったり、ぱっとしない男子から突如モテモテになった畑くん(加瀬澤拓美)をめぐり、女同士の嬉し恥ずかし恋の鞘当てがあったりと、「女子の性への興味や恥ずかしさ」という主宰の掲げるテーマは、前作よりも明確になったのがいいと思う。
恋すると顔を体がピンクに変わるというアイデアが可愛らしくも愉快。それを説明するために、むーむーというキャラクターのTシャツを二種類作るという凝りよう。あのTシャツ、わたしもほしいぞ。(70分)
■データ
妙な形のクッキーがヒットするというオチも見事な最終日ソワレ/神楽坂die pratze
2・29〜3・2
作・演出/津久井亜以
出演/佐伯さち子(野鳩)、加瀬澤拓未(ロリータ男爵)、吉田麻生(むっちりみえっぱり)、工藤史子、白井暁子(漢の仕草)、オマンサタバサ(ゴキブリコンビナート)、福屋吉史、貴島千華、津田悠