(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

「罪と罰」女王陛下1月公演

女王陛下は、WAHAHA本舗出身の大地輪子が、ミドリちゃんこと別渡ミドリと組んだユニットで、コツコツとプロデュース公演を行ってきている。ずいぶん前から気になってはいたのだが、なかなか事前の情報をキャッチできなく、ようやく今回が初見。
深夜、女優である妻ララ(大地輪子)の帰宅を待つ夫の田中。そこに不審な訪問者が。彼女は、なんと人魚(ミドリちゃん)だった!暗転後、人魚を防水マットで包み、居間から廊下へと引きずっていく田中。
明けて翌日、田中の全快祝いのパーティ。先に、ミミと出かけたコペンハーゲン旅行で、彼は海に落ちて怪我を負い、その前後の記憶を失ってしまったのだ。田中の友人や、上階の住人、ミミの運転手など続々と客たちがやってくる。しかし、楽しいはずのパーティは、なぜか互いの醜い秘密を暴きあう展開に。そんなさ中、突如田中が失った記憶を取り戻したと言い始めて。
おおっ、これは典型的なキャンプ・ユーモアですね。性風俗、性病、ロリコン、SMと悪趣味のオンパレードのような展開で、それぞれの登場人物たちの捩れた素顔が明らかになっていくくだりの笑いには、俗っぽさと軽薄さがいっぱいで、もうそれだけで観客をお腹いっぱいにさせてくれるサービス精神がある。
しかし、毒とスラップスティックな笑いばかりと思いきや、終盤の意表をついた展開も見事。いい本ですね、これ。前半の???な場面も、しっかりと伏線としてさらって、ちょっとした感動も味合わせてくれる。物語を二度繰り返す終盤のファンタスティックな展開も、実にロマンチックだ。
初日ということもあって、役者の台詞がおぼつかなく、こちらがドキドキした場面もあったが、冬のさ中にコレをやるか!という、まさに捨て身の趣向もある。(ちなみに、物語は夏の設定)わけのわからない踊りで唖然とさせる大地や、人魚のコスチュームをつけただけで爆笑をさそう怖可愛いミドリちゃんも、さすがの存在感。(100分)※27日まで。

■データ
次回は11月のOFFOFFとアナウンスのあった初日ソワレ/下北沢駅前劇場
1・24〜1・27
作・演出/後藤英臣
出演/大地輪子、ミドリちゃん(別渡ミドリ)、大久保佳代子(オアシズ)、川瀬忠行、出月勝彦(泰木窯)、本村壮平、ちかまろ(松竹芸能)、鷲田桃子(吉本興業 TRAPPER)、白石直也