(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

「つるつる」スクエアVol.22

スクエアは、1996年に上田一軒と森澤匡晴により結成。大阪を拠点に、東京でも公演を行っているが、わたしは役者の北村守が今年夏のデス電所公演に客演していたときの前説(東京公演でお客が入らなかったという悲惨な話)で、機会あれば観てみようという気になった。というわけで、今回が初見。
先代の所長がなくなり、ふたりの後継者が引き継いだ探偵事務所。しかし、島田と野口のふたりの探偵は、いつしか犬猿の仲となり、見習いの新人もその板ばさみで苦しんでいる。そんな探偵事務所に、新しい仕事が舞い込んできた。夫の浮気を疑う妻からの依頼を引き受ける島田。しかし、その直後、そうとは知らずに、野口が夫からも妻の浮気調査を引き受けてしまう。
典型的なシチュエーション・コメディの作りで、そこそこコミカルで、人情味もあり、役者さんたちも上手い。しっかりした演出もあるのだろう、きちんと作られているのが判る。
ただ、最初の10分でおおよそ全体の予想がついてしまい、実際、結末に至るまで思った通りで、その点にがっかりした。既存のかたちから踏み出していくものが何もなく、予定調和のまま終わってしまう。もちろん、贔屓の役者を観て、笑って、和むだけのそんなぬるい舞台があってもいいとは思うけれど、わたしにはそれだけじゃつらい。申し訳ないけど、わざわざ劇場に足を運ぶ気には、何かが足りないタイプのお芝居でした。(120分)※11日まで。14日から大阪公演あり。

■データ
役者の退団発表もあったカーテンコールがやけに寒かった初日ソワレ/池袋シアターグリーンBOX in BOX THEATER
11・9〜11・11(東京公演)
作/森澤匡晴 演出/上田一軒
出演/上田一軒、森澤匡晴、北村守、奈須崇、原尚子
音楽/はじめにきよし