(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

「ポエム」表現・さわやか 第4回公演

猫のホテルの役者にして、外部へは客演のほかに脚本提供なんかもやっている池田鉄洋。ドラマやCMなどテレビ出演の人気も上昇中の彼が作、演出する表現・さわやかは、2004年、猫ホ内のユニットとしてスタートし、年1回のペースで公演してきている。
高校の同窓生ミミ(柳沢ミミ)に今も思いを寄せる片岡(佐藤貴史)。究極の技、魅力のボイスで詩を朗読するも、またもや振られてしまった。思えば、過去も失敗の連続だった。高校時代には、強力なライバル野茂(岩本靖輝)がいたし、その後美術学校で再会するも、デッサンのモデルをやってた彼は猥褻物陳列の罪で有罪。一方、野茂も、ワガママでジコチューの気味があるミミには、散々手を焼かされていて。
思い込みの激しい男が、なんとかの一念で憧れの女性への思いを貫き通す、というあってなきが如くの物語が頭とお尻にあって、その間にさまざまなコントを挟みこむという構成。
内容の下らなさでは、最近観たケラの「犯さん哉」に通じるものがあるけれど、脚本はあそこまでは開き直っておらず、場面場面も役者の技量にひたすら頼っている。
そんなわけで、見どころは、猫のホテルの役者たちによる役柄への徹底した入れ込みで、そこまでやるか、と感心させられること、しばし。村上の暴走はある程度予測できたけど、わたしはいけだしんの壊れ上手に感心。
ただ、インプロすれすれの芝居ががあまりにくどくて、食傷する場面もあり。時間的には、30分縮めて、もう少し観たい、というところでまとめてほしかった気がする。客演の佐藤の演技はなんとも頼りないけど、それが持ち味になっていてよろし。柳沢ななは、これだけの顔ぶれの中では、善戦ではないか。
コントの中には、過去の公演でお馴染みのキャラクター(時報三兄弟?長井大?)が登場していたようだが、そのあたりは初見のわたしでも十分に楽しめました。最後は、唐突にハッピーエンドを迎えるというあっけなさだが、まぁこれはこれで楽しいから、いいと思う。
ちょっと閉口したのは客席の詰め込み具合で、採算の問題もあるのだろうけど、席を多くとりすぎている。あそこまで広げるなら、閉塞感を緩和するため、縦横の中央に通路などを作る配慮がほしい。そうそう、背景を一部切り抜いて、そこが開閉するしくみは、ちょっとした装置の工夫が面白かったですね。(120分)※12日まで。23日から大阪公演あり。

■データ
買わなかったけど、物販のTシャツがなかなか素敵だった休日ソワレ/下北沢駅前劇場
11・1〜11・12(東京公演)
作・演出/池田鉄洋
出演/佐藤真弓、いけだしん、村上航、岩本靖輝、池田鉄洋佐藤貴史サモ・アリナンズ)、柳沢なな